千里の旅も記録から
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けません!」
「だー! 疲れた! なんなんだよ最低二千文字って多すぎるだろしかも書き方面倒くさいし!」
「レポートは博士に見てもらうんだから普通に手紙を書くのとは違う……って教わった」
「はい。でもそんなに難しくないですよ。末尾や一部の言葉を畏まった感じにするだけで出来ます」
「普段から丁寧口調のお前に言われても納得できないぜ! ちょっと休憩!」
「……巡。現実逃避しても提出期限は変わらない」
「ちゃんとやらないと旅をする費用がもらえなくなってしまいます。さあ巡兄さま」
明季葉と奏海がじりじりと巡を追い詰めるようににじり寄る。巡は目線を泳がせ、岩の上に立膝で座る涼香を見る。しかし彼女はこっちを見ていないし助けを求めても逆効果だ。その涼香の視線の先を見ると、川の向こう、たくさんの木に隠れた何かの気配を感じた……気がした。
「あっ! 向こうに人影が!」
「こんな水辺にヒトカゲがいるわけありません」
「ホントだって! アキちゃん無言で針出さないで!?」
「……気づくのが遅いわよ」
なおも追及を受ける巡に対し涼香が岩場から飛び降りる。足場も小さな石畳のようになっていて不安定なせいか少しふらついたが、倒れるようなことはなかった。川の向こうへと明確に話しかける。
「さっきから……用があるなら出てきなさい。でないと、こっちから仕掛けるわよ」
「ガルゥ!!」
傍らで野生のコイキングを食べていたヘルガーが涼香の言葉に反応し炎を蓄える。その威力はここらの野生のポケモンなら群れで来ようがまとめて焼き払えるほどだ。木の多い場所で本当に火を放ちはしないだろうがそれでも刺すような威圧感があるのが巡達にもわかるほどだった。
「本当に人がいるんですか!?」
「十五分くらい前ね。……私がいなかったら隙だらけだったわよ」
「そんなに前から!? もしかして、俺たちの荷物を狙ったどろぼうとか……!」
巡がすぐに手持ちのアリゲイツを出して一緒に川の向こうを凝視する。涼香から旅のトレーナーから金品を奪う盗人の話は聞いていたが、実際に遭遇というか、それらしき人と対面するのは初めてだ。思わず唾を飲み、いつでも攻撃できるようにアリゲイツに指示を出す。
「むしろ待ちくたびれたよ。いつになったら全員気付くのかって!」
木々の中から、一点の曇りもない空から刺す太陽のように明るい少年の声がした。そして出てきた者の姿は……異様だった。あまり高くない背丈にさして特徴のない白シャツと黒ズボン。そしてその上の頭部は……とぐろを巻く蛇、あるいはコーンの上のソフトクリームのようにぐるぐると茶色と白の縞模様、そして頂点に真ん丸の目と獣耳が二つ。明らかに人間の顔ではなかった。
「う、うわあああああっ! 化け物!?」
「キメラ!?
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