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ある晴れた日に
423部分:夏のそよ風吹く上をその六
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夏のそよ風吹く上をその六

「頼むぜ。一曲な」
「音無と呼ぶな」
 正道はその春華にまずこう返した。
「不機嫌な仇名だからな」
「そんなに深刻に言うことかよ」
「別にねえ」
「そうでもないわよね」
「ねえ」
 春華に対して静華と凛と咲が応えて頷く。
「御愛嬌ってところじゃない」
「それだけなのに」
「何あんた怒ってるのよ」
「言われて気持ちのいい仇名とそうじゃない仇名がある」
 だが正道は彼女達にこう返すのだった。
「誰が音無だ、誰が」
「ちぇっ、器の狭い奴だな」
 春華はそんな正道の言葉を聞いて詰まらなさそうな顔をして返すのだった。
「そんなこと言ってたらでかい人間になれねえぞ」
「別に大きな人間になるつもりはない」
 正道はその春華に対してこう返すのだった。
「ジャイアント馬場やアンドレ=ザ=ジャイアントになるつもりはないからな」
「あんたそれマジで言ってるの?」
 奈々瀬は今の彼の言葉に七割本気で問い返した。
「そういう意味ででかいんじゃないんだけれど、今は」
「わかっている」
 それはわかっているのだった。
「それはな」
「わかっていても今の冗談はね。かなり寒かったわよ」
 奈々瀬はかなり呆れた目になったいた。その顔もだ。
「大体二人共もうお亡くなりになってるじゃない」
「偉大なレスラーだったけれどな」
「ああ」
 男組はこの二人の名前を聞いて急にしんみりとなっていた。
「若くしてなあ」
「ずっと闘って欲しかったんだけれどな」
「馬場さんって六十超えても現役だったんじゃ?」
 その彼等に対して突っ込みを入れる千佳だった。
「それでずっとって」
「ずっとも何もあの人は永遠なんだよ」
「そうなんだよ」
 佐々と野茂はこう主張する。
「あの人こそが最高のレスラーなんだよ」
「ジャイアント馬場こそがな」
「いや、猪木だよな」
「なあ」
 しかし坂上と坪本は彼を推すのだった。
「あの魔性の闘魂な」
「あの人こそな」
「何でプロレスファンって絶対にどっちかに別れるんだろ」
 茜はそんな彼等の会話を聞いて首を捻るのだった。
「本当に」
「これだけは譲れないんだよ」
「俺もだよ」
 だが彼等はそれぞれ言い合うのだった。馬場派も猪木派もだ。
「あの巨大な身体を使っての正統派レスリングがな」
「華麗かつダーティーなファイトがな」
 彼等のそれぞれの持ち味である。だからこそ馬場も猪木も永遠のヒーローとなったのである。そこには確かにカリスマがあった。
「俺はホーガンだけれどな」
「僕はハンセンかな」
 野本と竹山はそれぞれ外人派だった。
「あのナンバーワンだよ」
「ウエスタンの持ち味がね」
「プロレスの話はここまでにしておいてね」
 いい加減
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