四葉のクローバー
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てた」
奏海と明季葉も立ち上がる。それぞれ考え方は違えどかつての自分のようにこれからの旅へ、そしてその先の未来への意気込みがあるのは見て取れた。涼香にはそれが随分眩しく思えてしまう。やりたくてやるわけではないが、本当に自分に彼らを引率できるのか。いずれ素性が割れた時、非難されるのではないかと思うと怖くないと言えば嘘になる。
(それでも……私にはこれしか用意された道はない。四葉が私を意図的に操っているつもりなら……いつかその糸は、焼き尽くす)
「涼姉ー! 行こうぜ、俺たちが道を間違えそうになったら案内してくれよなっ!!」
「っ……!」
巡が涼香の腕を引っ張り一緒に彼らの後ろについて部屋を出る。巡の何気ない言葉に聞き返す。
「……後ろを?」
「うんうんっ、引率のトレーナーって言っても涼姉はガンガン先導する気はないんだろ? 俺達もやっぱり自分の旅は自分で行先を決めたいからさ。涼姉には後ろについててもらうのが一番かなって三人で相談したんだぜ!」
奏海や明季葉が頷く。その言葉に涼香は少しだけ胸のつかえがとれた気がした。後ろに控えて見守る役目なら、そこまで気負わなくてもいい。少なくとも彼らに自分の汚れた背中を見せながら旅をするよりはずっといいはずだ。二時間前巡達に言ったのはこういう効果を期待しての事ではなかったが、それでも彼らは涼香の言ったことを受け止め旅に真剣に向き合っていることが伝わってくる。
「……じゃあそうさせてもらうわ。ただし、それならちゃんと指示した時は聞くのよ」
「イエッサー!」
「巡兄さま、それは女性相手には間違いです」
「奏海、そこはどうでもいい……わかった」
とりとめのない子供たちの会話を後ろで聞きながら、研究所を出てかつて旅した道のりをもう一度歩く。ヘルガーが自分の隣を不機嫌そうに歩き出し、ヒトモシが定位置と言わんばかりに汲んだ涼香の腕にふよふよと乗る。目の前の三人には旅の果てに全てを失った自分とは違う未来へ行って欲しいとほんのわずかに願いながら、涼香は歩き出した。
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