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Blazerk Monster
四葉のクローバー
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と巡り合って、自分自身を成長させることが、一番大きな目的だと心に刻んでおいておくれよ」


 全く澱みのない、物語の語り部のような綺麗な言葉だった。三人の子供たちはポケモントレーナーとして認められる儀式の一つとして、神妙な面持ちで聞いているようだった。

「ふう……かつて自分がかけられた言葉を言う側になると年を取った気になるよ」
「ぬかせ、十八の小娘が」
「十八の小娘にとって三年という年月は長いんだよ。君もそう思うだろう?」
「……!」

 四葉の視線が涼香に映る。このまま話しかけずに終わらせてくれることを少し期待したがやはりそんな素直な性格を四葉はしていない。三人も涼香を見て、彼女の意見を待っているようだった。

「……そうね。凄く色んなことがあって……凄く色んなものが無くなったわ」

 出来るだけ無感情に言おうとした。でもそうするにはポケモントレーナーとして過ごした時間は映画館で見たポケウッドの大作よりもはるかに濃く、そしてそれを失って過ごす虚しい時間はスロー再生したDVDのように退屈に長かった。子供たちや博士何か言う前にに四葉が拍手をする。

「いい言葉だね。そう、ポケモントレーナーとして旅をするということは何も得る物ばかりではないということだよ。町の人とも別れもあるし、一緒に過ごしたポケモンとの別れも起こりうるだろう。もしかしたら隣にいる誰かがいなくなる可能性だってある。そのことを忘れてはいけないよ」
「涼姉、今の言葉って……」
「……そう言うことよ。あんた達も覚悟しておきなさい」
 
 四葉に都合よく言い換えられるのは気分が良くないが、本心ひいては素性をこの場で話されるのはもっと困る。いずれは話さなければいけないが、今この場で子供たちに知られて自分を引率者として同行することを拒否されたら四葉に真実を聞き出すことは不可能になるだろう。その逡巡を知ってか知らずか、四葉は笑みを深くする。すると椅子の周りで大人しくしたジャローダが突然動き出し、椅子に座る四葉に突然自分の体の一部である蔦を朝顔のように巻き付け始めた。四葉が苦しむ様子がないので締め付けられているわけではないのはわかるが、それでも子供たちが驚いた。

「おっと、もう時間だったね。ありがとうクローバー」

 四葉は自分に頭を垂れるジャローダを撫でる。クローバーとは彼女のジャローダのニックネームだ。四葉は自分の信頼する手持ちにはニックネームをつけるタイプである。そして今四葉の体に巻き付けたのは、攻撃やスキンシップではなく、四葉の体を考えての事であると涼香は知っている。

「四葉さん……それは?」
「ああ、吃驚させてしまったね。僕は見ての通り虚弱だから定期的にクローバーに光合成で得たエネルギーを分けてもらってるんだ。美味しい野菜の栄養を貰うようなも
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