四葉のクローバー
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い肌と髪、立派な椅子が余計大きく見えるほど抱きしめたらどこか折れそうなほど細く身体、少しこけた頬は不健康にさえ見える。だが彼女の頭脳は体のハンデなどものともしない強さがあることを涼香は知っている。
「……良かった。無事に始められそうだね」
四葉は三人を見て言う。しかし内容は自分に向けられていると涼香は直感で理解したが、今何か声をかけるのは得策ではない。壁にもたれたまま知らぬふりをした。その胸中すら見透かされているのか、四葉はくすりと笑う。
「まあ、そんなに身構えずに聞いておくれ。僕はこの一年間、君達新人のトレーナーが安全に旅を行えるように色んな調整をしてきた。だから君たちの旅の結果が僕のチャンピオンとしての仕事の成果になると思ってくれていい」
「……責任重大」
「いいや、僕が言いたいのはむしろ逆なんだよ」
「えっ……?」
明季葉の言葉をあっさりと否定する。意外だったのか巡と奏海の肩が少し跳ねた。
「だけどね、それはあくまでこれからのトレーナーに旅を楽しんで、人生の糧にしてほしいからなんだ。僕が与えた権利は遠慮なく使ってくれていいし、いっぱいこの地方を回ってポケモンや人間たちに触れてほしい。それが僕のチャンピオンとしての望みなんだ」
「すっげー! いろいろ難しいこと考える人って聞いてたけど、なんだ四葉さんっていいお姉さんじゃん!」
巡が感動したように言う。本性も知らずに呑気なものね、と涼香は思った。
「まあそれも昔の旅は色々危険が多かったからなんだけど……その辺の話は博士やそこの引率者がさんざんしてくれただろう? だから僕からはおいておくよ」
「ふん……子供には何度言っても足りんくらいだと思うがな」
博士は四葉の言葉に鼻を鳴らす。博士は博士で子供たちを案じて厳しい態度を取っているのでそこを揶揄されるのはいい気分はしないだろう。
「さて、じゃあ僕から君たちへのお約束の言葉を述べようか」
「何か特別なことがあるのですか?」
「そんな大層なものじゃないよ。全ての地方で旅立つトレーナー達に送られてきた慣例のようなものさ……」
奏海の問いに四葉は軽く咳払いをしてから、読み上げるような口調で述べ始めた。それは涼香と四葉が三年前に聞いたものとほぼ同じだった。
「君達は今から始まる旅の主人公となって冒険の旅に出発する。街角、家の中、道路、草むら森の中……色々なところにいる人たちに話しかけて、困っている人がいれば助けてあげてほしい。そうすることで君達は旅をする意味を持つことができる。時には人々が勝負を申し込んできたリ野生のポケモンが立ちふさがることもあるだろう。でもそれらに打ち勝つことで君たちは強くなっていくんだ。だけどね。この旅の目的は強くなることなんかじゃない。旅の中でいろんな人
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