第61話 剣を持つ覚悟
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た、次に勝てばいいと……」
「稽古ではな……」
「うむ、戦場で敗北すれば次など無い。実戦と稽古の違いを私は身をもって知ることになった」
「2年前のアレか……」
「そなた達西風の旅団に紛れ戦場をその身で実感したあの日……私はこの世の地獄というものを見たんだ」
ラウラも何回か西風の旅団の作戦に参加したことがあるの。稽古では知ることのない人を斬る事の重さ……そして稽古と実戦の違いを知ってほしい……そうヴィクターが団長に相談したのがきっかけだった。
遠い未来にラウラは光の剣匠の後を継ぎレグラムを統治する立場になる、その時に民を守るために敵の命を奪わなければならない状況が必ず来るだろうってヴィクターは言っていた。
最近は争いも増えてきたし帝国という巨大な力が徐々にゼムリア大陸を飲み込み始めている。実際にリシャール大佐もそれを危惧していたしいつ戦争が起きるか分からない。
ラウラはそこで戦場というものを知った。ルールなど無い命の奪い合い……最初はわたしやリィンがフォローしたから生き残ることが出来たが、初めて人を斬ったラウラは一日中震えが止まらなくなった。
私はラウラは剣の道を手放すんじゃないと思ったが、ラウラはそれでも剣の道を進み続けた。
「私はあの時正直に言って剣を捨てようかと思ったよ。人を斬る重さ……それは言葉では決して言い表せないものだ」
「ああ、一人の人生を文字通り奪ったんだ、俺も最初はラウラと同じように震えが止まらなかったよ」
「そんな私をそなたは優しく抱きしめてくれたんだ。あの時は本当に救われた」
へえ、そんなことをしていたんだ。わたしに内緒でそんなことをしていたなんてなんかズルイ。
「あ、あの時は無我夢中だったんだ、俺もマリアナ姉さんに同じように抱きしめてもらったから……思えばセクハラだって言われてもおかしくないことをしているな、俺」
「そんなことはないさ、そなたの優しさは私を救ってくれた。その時に私は決めたんだ、たとえこの手が血で染まろうとも大切な人や民を守るために躊躇などしない。私なりの正義を持って剣の道を究めていこうと……」
ラウラはリィンの手を取ると、自らの両手で包み込むように握った。
「そなたが人を斬る罪を共に背負ってくれたから、私はこうして戦う事が出来るんだ。その時に私はそなたに恋をしたんだ。親友の後押しがなければこうして想いを告げることはなかった……でも今ならハッキリ言えるよ、私はそなたの事が好きだとな」
「ラウラ……」
リィンはそっとラウラを抱き寄せると抱擁をする、ラウラはリィンの突然の行動に驚いていたが直ぐに受け入れて自身もリィンの背中に両腕を回した。
「ラウラ、ありがとう。君の気持ちはとて
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