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Blazerk Monster
巡る季節が奏でる出会い
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はところどころ跳ねていて、服装は巡達と違って随分と着古しているのがわかる。穿いているグレーのスニキーは元々そういうデザインなのかところどころ破れていた。トレーナーらしい旅の服装で小さなポケモンを抱きかかえているのに、巡達を見る眼光が全く可愛らしさをイメージさせない。髑髏を抱え使い魔を操る魔女と言った方が似合いそうだった。

「……あんた達が新人のトレーナーよね?」
「お、お姉さんが引率のトレーナーなのか? ひどいじゃないか、いきなりポケモンで襲うなんて!」

 特に謝るでもなく聞いてくる女の人に巡は思わず抗議する。大事にならなかったとはいえ、ヒトモシを倒せていなかったらどうなっていたかわからない。女の人はため息を吐く。

「その通りだけど、質問に質問で返さないの。それと、いきなりポケモンに襲われるのが嫌なら今からでも旅をするのはやめた方がいいわ」
「なっ……!?」
「どういうことですか? 旅をするならこれくらい当たり前の事だと?」
「……あの子はこういうことは教えなかったのね」

 やれやれと女の人は頭を振った。誰のことを言っているのか巡達にはわからない。それから巡の方を向いて諭すように言う。

「道路で草むらに入れば色んなポケモンが飛び出してくるし、時には餌にしようとしてくることもある。ポケモントレーナーもちょっと目が合っただけでこっちの状態なんてお構いなしでバトルを仕掛けて来るなんて当たり前。強盗や悪の組織が何の前触れもなく襲って来ることだってある。……ポケモントレーナーとして旅をするって言うのは、そういうことよ」

 その言葉は決して脅しなどではなく、彼女自身が体験したであろう実感があった。言葉の重みに巡がごくりと息を呑む。反論が出来ない巡の代わりに奏海が手を上げて聞いた。

「でも、今年からは四葉様が旅の安全のためにいろいろルールを整えてくださっています。危険は少ないのでは……」
「……そうね。私もルールに目は通したけど、頭のいいあの子が考えるだけあって大分マシにはなってると思うわ。あなた達が理不尽に犯罪に巻き込まれないように気を遣ってる。……でも、あなた達自身が物見遊山程度の認識しかしてなかったら、何の意味もないわ。さっきのでなんとなくわかったでしょう? 引率のトレーナーであるわたしがいきなり襲い掛かるかもしれない。突然仲間が負傷したり何かの理由で仲間が裏切られるかもしれない。危険なんていくらでもあるわ」
「そんな……」 

 最後の方は彼女自身思うところがあるのか、言葉はどこか辛そうだった。巡はなんとなく、思ったことを口に出す。

「そっかそっか。じゃあお姉さんって……優しい人なんだね」
「巡兄さま……?」
「だってさ。今の言葉って……要するに、旅は危険なことがいっぱいあるんだって教えるためにや
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