巡る季節が奏でる出会い
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「アキちゃん大丈夫か!? 奏海、すぐに氷か何か冷やせるものを……」
「……アキじゃなくて明季葉。それと巡、心配するならこっちを見て言って」
明季葉の声は、元気がないがよく効けばそこまで痛みに苦しんでいるわけでもなさそうだった。決して少なくない時間炎に焼かれれば痛いどころか喋るのも難しいはず。どちらかというと風邪や熱によって力が入らなくなったときのそれに近かった。様子を確認したいが、巡は明季葉の方を向かない。いや向けない。戦闘中の自信とは裏腹なしどろもどろで言う。
「いやだって……炎で服とか焼けてるだろうし……もしそうだったら悪いなーって……」
「……巡は変態」
「違うぜっ!? ただアキちゃんが恥ずかしくないかなーと思って……」
「杞憂です巡兄さま。明季葉さんを襲った炎は霊的なもののようなので氷枕等は必要ありません」
「ほ……ほんとか? 嘘だったらハリーセン飲ますぜ?」
恐る恐る巡が明季葉の方を見ると、確かに全く服や顔に変化はなかった。奏海が明季葉の腕や頬に触れて痛みませんか?などと確信にしており、明季葉もちゃんと受け答えしている。丈の余ったエプロンドレスには一縷の焦げやほつれもない。ほっとする反面、ほんのちょっとがっかりした感情は頭の隅に追いやることにして奏海に聞く。
「よ、良かったぜ! 霊的な炎ってどういうことなんだ奏海?」
「あの蝋燭のようなポケモンはヒトモシと言いまして、炎タイプの他にゴーストタイプを持っているんです。ゴーストタイプの『鬼火』は物理的に何かを燃やすのではなく生き物の心を燃やしてしまうもので……あまり長い時間受けると生きる気力や希望が無くなって死に至ると言われますが、この程度なら少し横になっていれば問題ないでしょう。明季葉さんはしばらく横になっててください」
「奏海……詳しい」
「奏海はこの旅に備えて色々勉強してたからな。ポケモンの特徴とか技の事とか……今のバトルでも助かったぜ!」
「いえ、結局巡兄さまに助太刀できませんでしたし。それよりも、あのヒトモシは何で僕達を襲ったんでしょうか」
奏海は水にぬれた向こうの壁を見る。まだヒトモシは倒れていた。明季葉の話では引率トレーナーが連れていたとのことだったが何故こんなことをしたのかわからない。するとヒトモシが目を覚ましたのか頭の炎を灯し、むくりと体を起こ……そうとしてガラス玉だらけの身体ではうまく起き上がれずそのままころころと玄関の方に転がっていく。
その体を、頭の炎をものともせず誰かが突然両手で抱え上げた。そのままヒトモシを腕組みして乗せる仕草には荒っぽいがどこか労りがあるように巡には見えた。
「引率の……トレーナーさん」
明季葉が立ち上がって呟く。その人間は20前後の女の人で後ろにはヘルガーを連れている。短く切った髪
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