巡る季節が奏でる出会い
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アリゲイツも口を開けたままヒトモシに突っ込む、二体が同時に躍りかかった時、蝋燭ポケモンの炎が揺らめき妖しい光を放った。巡と奏海の目が一瞬眩む。そしてぶつかる音がした。
「やったか……!?」
巡は目を開ける。ヒトモシは倒れていない。それどころか様子がおかしくなったオオスバメがアリゲイツを攻撃している。アリゲイツは蝋燭ポケモンを狙おうとしているが、オオスバメの翼に叩かれて進めない。
「スワビー、どうしたんだ!?」
「巡兄さま、これは『混乱』状態です!」
「状態異常ってやつか……! 戻れスワビー!」
奏海の助言で巡はオオスバメをボールに戻す。仲間に攻撃され、傷ついたアリゲイツが戸惑ったように巡を見た。明季葉の体は炎に包まれたままだし、蝋燭ポケモンはまだ全然ダメージを受けていない。旅立つ前に訪れたピンチに巡も自分まで頭が混乱しそうだった。そんな状況で巡は自分のポケモンに対して、笑ってみせた。
「大丈夫だクロイト、お前の主人はいつも通りクールだぜ?」
「キュバウ!」
「ああ……お前が苦しい時程俺がクールじゃないとお前が困るもんな、俺はポケモントレーナーとしてあるために生まれたんだから」
自分に言い聞かせるような言葉の後、深呼吸。その間に蝋燭ポケモンは炎を吐く力を溜めている。奏海がやっとモンスターボールを取りだし、自分のポケモンを出そうとするが、巡が片手で制する。
「ここは俺に任せてくれ、また混乱状態で同士討ちになっても困るしな」
「しかし……!」
「いいから、兄貴を信じろって。クロイト、炎を受け止めろ!」
蝋燭ポケモンが放つ炎をアリゲイツは反撃せず身を丸めて受けるダメージを減らす。とはいえ何か技を使って防いだわけではないので体は焼け、頭のとさかが少し焦げて黒くなった。更にアリゲイツの周りを炎が渦巻き、行動を邪魔する。
「『炎の渦』……相手を逃げられなくしてさらに継続的にダメージを与え続ける技です。このままじゃ……!」
「いいや、これで準備は整った! いけクロイト、『激流鉄砲』!!」
「キュバアウ!!」
アリゲイツが顎が外れそうなほど口を開き、水を放つ。ただし今度は消防車がホースで出す水のように鋭く勢いのある攻撃だった。追撃の炎を放とうとするヒトモシの体を水が打ち抜き、後ろの壁までふっ飛ばして消火する。アリゲイツの周りや明季葉の体を包んでいた炎が、跡形もなく消え去った。アリゲイツの特性『激流』によりダメージを受けたことで水技の威力を上げたのだ。
「よしよし、よくやったぜクロイト!!」
「キュバア!」
巡はアリゲイツを抱きしめようとする。しかし触れた途端沸かしたヤカンに触ったような熱さに飛びのいた。炎は消えても、まだ熱は残っている。明季葉の方を見ずに巡は言った。
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