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ある晴れた日に
415部分:雉鳩が消えたその十五

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雉鳩が消えたその十五

「男同士の間で電話した方がいいしね」
「確かにね」
「何か私達が直接電話したらやっぱり」
「まずい?っていうかね」
 苦笑いの顔になって見合う五人であった。
「悪いな、桐の字」
「仇名で呼ばなくていいから」
 さりげなく春華の仇名にも返していた。
「っていうかまた変な仇名だね」
「そうか?結構いいよな」
「そうよね、今のも」
「中々いいじゃない」
 静華と奈々瀬が春華の味方についた。
「いつもながらセンスあるわよ」
「いい感じでね」
「だろ?だからこれからも桐の字ってよ」
「別に呼ばなくていいから」
 先に返す桐生だった。
「本当に。別にいいから」
「あれっ、気に入られなかったのかよ」
 最初でわかっていたがあえてここで言ってみせた春華だった。
「んじゃあ今は言わないでおくよ」
「ずっと言わなくていいよ」
 さりげなくきついことも言う桐生だった。そうしてその間にメールを送っていた。すぐに返信の着信音が聴こえてきたのであった。
「それで」
「どうなんだよ」
「わかったって」
 覗き込むように自分の周りに集まってきた皆に告げた。
「心配したけれどそれならよかったって言ってるよ」
「よし、それだったらいいよ」
「よかったよかった」
「安心したわ」
 皆正道の返信のメールを実際にそれぞれの目で見て安心するのであった。
「じゃあ後は」
「心おきなく」
「遊ぶか」
 皆で言い合うのだった。
「今度は何食べる?」
「どのお店に入る?」
 誰もが子供の様にはしゃいでいる。
「オタク大王のとこ行って射的しねえか?」
「いいな、それ」
 野本は春華の今の言葉に楽しそうな笑顔になる。
「あいつにばっかりやらせたら面白くないからな」
「そうそう」
 そして二人で言い合うのだった。そして凛はまた明日夢の傍に来て小柄な彼女の耳の傍に顔をおろすようにして近付けて囁くのだった。
「少年、何処行く?」
「何処って?」
「二人で何処かに行かない?」
 にこやかな笑顔で彼女を誘うのだった。
「二人でね。何処か楽しい場所にね」
「そうね。じゃあ二人で」
 明日夢も彼女の言葉に頷きかける。
「行く?それじゃあ」
「ええ。行きましょう」
「って御前等よ」
「妖しい場所に行くんじゃねえだろうな」
 坪本と佐々は本気で疑っていた。
「女同士でホテルとか行くなよ」
「神社の陰とかな」
「そんなところ行かないわよ」
「そうよ」
 二人はもう手をつなぎ合っているがその状態で彼等に反論するのだった。
「私達健全なんだから」
「ちゃんとした友達同士よ」
「全然そうは見えねえよ」
「レズにしかな」
 これまた随分とはっきり言ってしまった佐々であった。

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