心を燃やす劫火
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れからの道のりで見つければいい。
ヒトモシの炎を胸に。傍らにヘルガーを従えた涼香は、一旦研究所から出ようとした。新人トレーナーがくるまではまだ時間がある。新たなポケモン達に事情を話す必要もあるしそれまでここにいるわけにもいかない。しかし後ろから声がかかる。
「……涼香。何か言うことがあるんじゃねえか?」
「!」
振り返ると、博士がちょうど研究所から出てきたようだ。ポケモンの脱走を告げるアラームを聞きつけ、やってきたのだろう。白髪をオールバックにした壮年の男性で、火のついたタバコを手に持った彼は白衣が凄く似合わない。スーツを着てオフィスにいれば誰でも仕事の出来る管理職だと判断しそうだ。
「お前がここに来る理由は四葉から聞いた。あいつは相変わらず肝心なことは言わんから詳しくは知らんが、とりあえずそのことには目をつぶるさ」
博士はタバコでヘルガーとヒトモシを指す。やはり四葉が話を通しているのは事実のようだ。
「……なら、遠慮なくもらっていくわ。新人のトレーナーは今どこに?」
「口の利き方に気を付けろ、自分の立場がわかってないのか?」
「……!」
身の竦む言葉だった。昔からぶっきらぼうではあったが涼香に対しては旅を支援する博士として接してくれていた。でも既に涼香の立場は違う。
「お前はもう期待の新人トレーナーじゃない。どんな事情があろうと周囲と自分のポケモンを裏切ったトレーナーの風上にも置けない女だ。そいつらを連れていくのを許すのも、チャンピオンになったあいつがポケモンなしでは新人トレーナーを守る仕事に差し障ると判断したからにすぎん」
「……そうね」
「聞こえなかったか? 口の利き方に気を付けろと言ったんだ。十八歳にもなれば目上の人間と話す時は敬語を使うもんだ」
涼香が旅立ったときは15歳、あれから3年の月日が流れていた。まだ未成年ではあるが、体はもう大人と変わらないし普通に仕事をしていても珍しくない年齢である。涼香は少し考えた後言った。一応アルバイトで敬語を使うのは慣れている。尤も全く心のこもっていない棒読み口調だが
「……失礼しました。それで、一緒に旅をするトレーナーはどこにいますか」
「ふん……四葉の住んでいた家だ。ご両親の承諾を得て一晩そこに泊めさせたからまだそこにいるはずだ」
「わかったわ」
「おい」
答えを聞くなり敬語をやめた涼香に博士が真面目に怒りのこもった声を出す。
「……四葉に伝えておいてくれないかしら。あなたの掌で踊ってあげるけど、決して綺麗には踊らない。むしろ踏みつけてタップダンスでもしてやるって」
「つまらんジョークだ。そんな態度を取るならこの件は取り消してもいいんだぞ?」
四葉は涼香に旅をさせたがっているようだが、新人のトレーナーを旅立
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