暁 〜小説投稿サイト〜
Blazerk Monster
心を燃やす劫火
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は通してあるとのことだがどこまで話したのか、どう思われているのかわからない。手塩にかけて育ててやったのに裏切ったと侮蔑されていてもおかしくはないのだ。
 研究所があるアイマラタウンは自然の中に家々が点在する小さな村だ。涼香も四葉もこの村で育ったため、もう訪れないと思っていたここに来たことに少なくない感情が巻き起こる。
この村に限ったことではないが、田舎の人間というのは結びつきが強いがゆえに、異端者、よそ者は排斥的になる傾向がある。親に聞いた話だが、四葉は赤ん坊のころに重病を患ったがために手術をして、病気は直ったものの静かな土地で暮らすべきだということでこの村に来たらしい。
他所から来て、病弱で体が弱く、風変わりな四葉は村のほとんどの人間から煙たがられていた。涼香が四葉と仲良くし始めたのは、似たような境遇を持つ病気の弟がいたからだ。もし弟が健康だったら、自分も差別していたのかもしれない。

(いや、差別はしていた。少なくとも四葉はそう感じていた)

 四葉と仲良くしたのも、陰湿ないじめから守ったのも、良かれと思ってやったことだ。だが全てはもう裏目でしかない。賽は投げられたのだ。
涼香は木造建築ばかりの景色の中でひときわ異彩を放つ白塗りの強化素材で出来た建物を見やり、思い出す。ここの博士の研究テーマは、『ポケモンと人間のコミュニケーションによる能力の変化』だ。
観葉植物に優しい言葉やリラックスできる音楽を聞かせると良く育つ、きつい言葉や激しい音楽を聞かせると萎れるなんて話はよくあるし、ポケモンには意思がある以上人間とのかかわりが影響するのは当然のことだが、具体的にどう影響するのか?マイナスのコミュニケーションを取ることはポケモンの能力にとって一概にマイナスと言えるのか?という様なことを研究していると思えばいい。
 なので、ここには様々な人間との関係を持ったポケモン達がいる。大切にされていたけれど、主が死んでしまったポケモン。飼ったはいいが躾けることが出来ず、捨てられたポケモン。ずっと檻の中に閉じ込められたポケモン、様々だ。

(そして私の様に。犯罪を犯したトレーナーから取り上げたポケモンもここに送られる)

都合上、トレーナーとの関係性によって別々の場所に隔離されていることを涼香は覚えていた。幸いにして、博士や助手達は研究所の中にいるらしい。慎重に隠れて進む必要はなかった。
研究所の一角にある、特にトレーナーとの間に深刻な問題を抱えたポケモン達が入れられた場所にまっすぐ向かう。涼香と四葉が旅立つ際、色んなポケモンを見せてあげると博士はほとんどの場所に案内してくれたが、この場所だけは危ないから近づいてはいけないと言われた。そのことが、涼香の記憶に逆にはっきりと印象に残っていたため場所まではっきり覚えている。
勿論トレーナーとの間に溝
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