暁 〜小説投稿サイト〜
Blazerk Monster
夢も未来もない旅立ち
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ていった。残された涼香は、再び思考に没頭する。しかしその1,2分後。大地が急に揺れて、集中が途切れた。震度5はあっただろう。




「わっ……何?」




 幸い程なくして揺れは収まった。驚きつつも椅子に座り直して――その時、涼香は見てしまった。




 四葉のモンスターボールが3つ、床に転がり落ちている。それを何気のなしに拾おうとして、気づく。『くれぐれも、のぞき見なんてしないでおくれよ』




(もし、これを拾ってしまったら……)




 決定されたポケモンは大会用にボールに取り付けられたボタンを押すことで情報が送信され、エントリーされる。もしこの3匹が四葉の選んだポケモンだったら?




(拾っちゃ、ダメだ)




 一度エントリーしたものは取り消せない。拾う時に見てしまったからもう一度選び直せ、とは言えない。このまま放置するべきだ。だけど。




(でもこれを見れば、私は……)




 弟に誓った優勝。相手の手持ちが全てわかれば勝利をこの手に掴んだも等しい。そうだ、自分は絶対に優勝しなければいけないのだ。さっき賞金を渡す話に頷いていれば、やはり理性が勝っただろう。だが、退路は自ら断ってしまった。こんなことになるなんて思わなかった。拾って元に戻すだけだ、その時うっかり見えてしまっても、責められる謂れがあるだろうか。いや、だが、しかし……




(私は、私は――!!)




 こうしている間にも、四葉は用を足して帰ってくるかもしれない。バトルの最中以上の窮地に追い詰められ、少女は――










 

「……ただいま。おや、涼香も決めたのかい?ちょっと地震があったようだけど、集中できた?」

「え……ええ。大丈夫よ」




 四葉が戻ったとき、彼女のボールは、ちゃんと元の位置に収まっていた。それが答えだった。選定が終わり、しばらく談笑する二人。楽しそうな四葉に、硬い表情の涼香。さすがに決勝戦なので緊張もするだろう、と四葉は気に留めない様子を示していた。その後大会のアナウンスが鳴り、二人はフィールドに移動する。




「じゃあ……行こうか、涼香。最初で、最後の、最高のバトルをしよう」

「……うん」




 







 そして決勝戦は……四葉の勝利で終わった。










 途中までは、ポケモンの選定を読み勝った涼香の優勢で進んでいた。それに四葉が技で食らいつくという形で大歓声に包まれていた。だが――四葉が最後の一体を出した時、けたたましいアラームが鳴り響き。










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