夢も未来もない旅立ち
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ことはいくらでも恨んでくれて構わない」
復讐、と強い言葉で訴える。自分の事を大好きだと言ったならあるいは本当のことを話してくれるのではないか言う儚い望みだった。だが平然と肯定する四葉の本心はわからない。踵を返して歩き出す。その後ろ姿を涼香は目に焼き付けていた。一陣の風が吹くと同時に四葉とオーベムの姿は消え、涼香の身体は自由になる。
「やってやるわ。四葉が何を考えていようと引きずり降ろして、本当のことを聞き出して……」
その後、どうするとは今は言えなかった。理由を聞けば許せるのか、許せなければどうするのか。その後自分自身はどうするのか。一年間魂が抜け落ちたような生き方をしていた涼香にはすぐに決められない。でもそんなことはどうでもいい。部屋に戻り、最低限の身支度を整え始める。自分が旅立った研究所まではここからそれなりにある。必要な準備を考えると急いでここを出なければいけないし、気持ちとしてものんびりなどしていられなかった。
「私は掴んで見せる……四葉の本心と、あの子の死の真実を!」
流れる涙を服で拭って、その腕を見る。色あせ、ぼろぼろになった旅の服。手持ちのポケモンは零。四葉はもう友達ではなく倒すべき敵。応援してくれる人は誰もいない。真実を聞いて、そのあと如何するのかもわからない。夢も未来もない旅が、始まる。
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