夢も未来もない旅立ち
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秀なトレーナーとして活躍するだろうと言われていた涼香と、そもそも各地を回り歩くこと自体出来るのかと心配され、一部の心ない人達には無謀だと嘲笑われていた四葉。旅そのものは二人は別の道を歩んだため違っていたが、しょっちゅう連絡は取りあっていたため新しいポケモンを捕まえたことやジムバッジの取得数など、お互いに競い合っていた。
「旅を始めた時から、いつかお互い全力でバトル日が来るといいねって何度も言ったよね。本当に四葉がここまで来たのはびっくりしたけど」
「そうさ……だから」
だが旅立つ前はポケモンを持たず、旅立ってからは今まで直接会うことはなかった二人は。実際に勝負をしたことはないし、来るべき時まで会うことはしないと約束していた。
「決勝で会おうね」
「決勝で会おう」
示し合わせたように、運命のように二人で言う。ポケモンリーグはトーナメント形式で、お互いに反対側にいた。だから戦うとすれば、それは優勝をかけた舞台なのだ。かくして二人は勝ち進み、決勝の直前。控室で再会する。
「……ほんとは、決勝のステージで再会といきたかったんだけどな」
「しょうがないさ、大会の決まりだもの」
二人の旅したキリヤーグ地方のポケモンリーグは、自分の手持ち6匹のうちから3匹を選び戦うルールとなっていた。戦う前に相手の手持ちは公開され、相手が何を出してくるかを読んで選出を行う。この読み合いこそが勝負のカギであり、バトルの勝因を8割近く決めるといってよい。
よって対戦する相手はバトルの直前に同じ部屋で、お互いのポケモンを決めるのだ。
「こうして面と向かって話してると、故郷の村を思い出すわね」
「そうだね。あなたの大事な弟は元気だった?」
「元気とは言えないけど……最近、自分の将来について考え始めたみたい。自分にもできることは何かって。しばらく直接話してなかったけど。ポケモンリーグに出るって言ったら嬉しそうな声で応援してくれたわ。ありがとう」
「それはいいことだね」
涼香には、病気の弟がいた。生まれた時から難病を背負い、他の子供のように走り回ることも、太陽の光を浴びることも出来ない子供だ。旅に出る前、お姉ちゃんは外に出れていいなと言われたことは鮮明に覚えている。だから旅に出てからは後ろめたくて話せなかった。だけど四葉の勧めで、一度直接報告することにしたのだ。四葉もやや病気がちで線の細いところがあったので、涼香の弟のことは気にかけてくれていた。
リーグチャンピオンには莫大な権力と富が与えられる。弟を日向で生きられるようにするために、彼女はここまで研鑽を重ねてきた。だから絶対に、負けられないのだ。どの参加者にも、勿論ライバルの四葉にも。そう思いながらここま
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