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『賢者の孫』の二次創作 カート=フォン=リッツバーグの新たなる歩み
自動自在 念動剣
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真言を唱えながら文字を書くようにして剣身に指をなぞらせると、光り輝く梵字が浮かび上がった。
軍神毘沙門天の加護による呪力付与。
刀剣であれば切れ味が、槍であれば貫通力が、鈍器であれば打撃力が大幅に増幅し、金剛不壊の強度が宿るだけでなく、通常の武器では傷つけることのできない霊的な存在に対しても効果を発揮するようになる。
錆の浮いた凡剣はたちまち神兵利器の名剣となった。
「即席付与か!? しかしなんだ今の言葉と文字は? そのような言語、見たことも聞いたこともない。どれお手並み拝見だ」
ふたたび起こる剣の舞。八本の剣による
偽攻
(
フェイント
)
と牽制。だが誘いの手だと油断して注意を怠ればそこからも必殺の一撃が来る。
内に実を秘めた八本の虚の剣、そしてそれらの陰から襲い来る二本の実の実たる剣。
(兵に常勢なく、水に常形なし。よく敵により変化して勝をとるもの、これを神という。法眼流に技なく型なし……。そこだっ!)
――剣は示すに虚をもってし、開くに利をもってす。これに遅れて発し、先んじて制す。各種の剣捌きは力に随い行いに逆らってこそ鋭きを得る――。
「
呀
(
ヤ
)
ッ!」
斬る、突く、払う、打つ、薙ぐ――。
点と線、円と直、緩と急、剛と柔。
素手の延長である武器。剣は敵を倒すためのみに進化した道具。
ひとりの敵を屠るには一降りの剣があればよく、一群の敵を屠るには、さらに一槍があればよい。
もしも折れず曲がらず刃毀れもしない剣があるのならば、一槍も不要。その剣は無敵なり。
「
哈
(
ハ
)
アァッ!」
法眼の剣光が迸るたびに動く剣は両断され、その数を減らしていく。
単なる武器破壊ではない。剣に宿る魔力をも打ち払い、折れた剣は自動で動く機能を失った。
「……小細工は効かぬか」
とうとうアイゼルの残りの剣は二本。自身で動かす二振りのみ。
「剣陣とは奇門遁甲より生まれた術で、目くらましによる戦法。陰陽師である俺に生半可な術なぞ通用しない。そのようなやわな陣、正面から食い破るのみだ」
「ならば我が剣も食い破ってみせるがいい!」
アイゼルの操る二本の剣。それはさながら見えざる剣士が肩を並べて闘っているかのようだ。連携攻撃が法眼の身に迫る。その同時攻撃は息をつくひまもないほどの速さと巧みさを見せる。
これにくらべたら八本の剣による
偽攻
(
フェイント
)
なぞ児戯に等しい。
虎狼さながらに地を走り、飛燕の如く宙を切る。
しかし法眼はそのことごとくを避け、あるいは受け流す。
アイゼルが背後に気配を感じた、その時。首筋に軽く剣刃があてられた。
「……我の負けだな。いかなる手段を用いたのだ?」
「言えるわけがないだろう」
「ふはは! たしかに、な」
「俺は息の
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