411部分:雉鳩が消えたその十一
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雉鳩が消えたその十一
「邪魔者は電話に出るなってことかしら」
「そうかしら」
だが咲は凛のその仮定には首を捻るのだった。
「未晴って携帯切ったことないけれど」
「そういえばそうだけれどね」
「何時でも携帯つけてくれてるし」
何時でも彼女達が電話をかけられるようにという配慮である。
「じゃあちょっとおかしいかしら」
「何かあったのかしら」
「まあよ。未晴にも色々あるんじゃね?」
春華は少しばかり未晴の側に立って考えてみてから四人に告げた。
「携帯を水に落としたとかよ」
「それって結構以上に大事だけれど」
「それかしら」
「そうじゃねえとあの未晴がうち等から電話かかるかも知れないのに電源入れないなんてないだろ」
咲と同じ考えになっていた。
「だからよ。やっぱりよ」
「携帯お水の中に落としたとか」
「そういうのなのね」
「だと思うぜ、うちはな」
春華もそう考えるようになっていた。
「まあとにかくよ。祭だからな」
「わかってるわ。楽しくね」
「食べて飲んで」
やること自体は普段と大してどころか全然変わらないようである。
「明るく過ごしましょう」
「何でも買って食べながら」
こうしてその祭に行くのであった。八条学園の近くにある大きな神社での祭だった。長い神社への道はその左右を売店で占められ夏服や浴衣の人々が夜道を行き交っている。もう夜であるが出店の灯りで昼のように明るい。五人はその中を綿菓子やら林檎飴やらフランクフルトやらを買い食べながら進んでいた。するとその前に。
「何だよ」
「御前等も来てたのかよ」
「何だよは余計よ」
「っていうかそれはこっちの台詞よ」
見ればそこにはクラスの男連中がいた。野本と霧生に坂上、坪本、佐々、野茂のいつもの面々であった。彼等はそれぞれラフにティーシャツにジーンズであった。
「まあ来てるとは思ってたけれど」
「凄い楽しんでるみたいね」
「まあな」
野本が手に持っているたこ焼きを食べながら五人の問いに答えた。
「結構楽しんでるぜ」
「みたいね」
静華は林檎飴を食べながら彼に応えた。
「何かそのたこ焼きかなり美味しそうね」
「うん、美味しいよ」
ここで一個口の中に入れてはふはふとしだした野本に代わって桐生が答えてきた。
「向こうの出店のだけれどね」
「へえ、向こうの」
「じゃああそこ行ってみよう」
「そうするか」
「で、五人かよ」
今度は坪本が五人に言ってきた。
「まとめ役はいねえのかよ」
「未晴は音橋と一緒よ」
奈々瀬が綿菓子を食べながら彼に答える。
「あいつとね」
「へえ、あいつとかよ」
「相変わらず上手くやってるみたいだな」
「少し妬けるけれどね」
こう言ったのは奈々瀬であった。彼女は焼き
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