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ソードアート・オンライン ー合わさる剣は2つの世界を一つにしてー「ある科学者とある剣士の物語」
第九話「ユイの姉と兄」
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ぽつりぽつりと始まった。そして攻略組の空気が変わった。攻略組もプレイヤーの絶対数を増やした方が安全であるという判断から中層階級への本格的な支援を始めたのだ。
 しかし依然として始まりの町周辺は何も変わらなかった。というのは意識レベルもそしてプレイヤーのレベルも低すぎるからだ。もはや支援の対象外だった。ここでは力とそれを使う意志のないものは強制的に排除される。それがSAOの現実だった。そんな時現れた人物がいる。
「た、たすけてー!」
「!子供の声、あいつら!」
「いこう、みんな」
 三人の子供が軍の奴らに追い込まれている。子供の保護者のような人が今にも剣を抜こうが迷っている。相手は軍だ。歯向かえばただでは済まない。ジンはその人を知っている。子供の託児所のようなものをやっているサーシャさんだ。
「サーシャさん、どういうことです」
「ああ、ジンさん、それにレイさん、軍の徴収です」
 軍の一人が言い放った。
「何言ってる国民には納税の義務があるんだ。当たり前の事だろうが!それを徴収だとまるで我々が不当に税を徴収してるようじゃないか」
「ふうん、納税の義務ねえ、それじゃあんたらは国民になにをしてやってるんだよ」
「そりゃ、安全に暮らせるように軍が管理してやってるんだ」
「管理社会か、国民は犬や猫じゃないんだ。自由意志がある。人権もな。まあ、口で言って分からなければ剣で分からせるしかないな」
「どいて、私がやる」
「アスナさん」
 レイピアを抜いたアスナさんの剣先は見えない。ノックバックが発生する。
「街での戦闘は負傷しない、だが恐怖を植え付ける」
 大の大人が逃げていく様は胸がすっとした。
「ありがとうございます」
 サーシャさんは礼儀正しく一礼した。
 しかし、どこからともなく重装歩兵が集まってきた。
「おまえたち、攻略組だな、へへでも四人だけじゃなあ、俺たちはキバオウの親衛隊だ、レベルも攻略組とそん色ないぜ」
 四人が剣を構える。
「いや、おまえたちは勘違いしている。その四人は、おまえたちでは倒せんよ」
 四人以外の声だった。
 そこには、東洋風の服に身を包んだ四人よりも何か大きく見える気迫を持った40代くらいの髪や髭が伸び放題の無頼漢がいた。
「お、おまえ、臥王!」
「?」
 四人が抜くこともできずにその者は、重装歩兵たちを血祭りにあげた。歩兵たちは防御もできずに全て一太刀で斬られている。なんだろう、ゆっくりだった。でも全員攻撃を躱せない。こんな剣技。見たことない……。ジンは戦慄していた。間違いなくプレイヤースキルだけでいったらSAO最強……!
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