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ある晴れた日に
400部分:目を閉じてその二十七
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目を閉じてその二十七

「三人姉妹でね」
「それだとかえって目立ちそうだな」
 正道はここまで話を聞いて述べた。
「小さくてな」
「実際にその娘さん目立つわよ」
 一番上の娘ということだった。
「小さいだけじゃなくて」
「小さいだけじゃないのか」
「奇麗よ」
 うっすらと笑っての言葉だった。
「目が垂れ目でね。それできらきらしていて」
「目が奇麗なんだな」
「髪は黒いショートヘアで」
「小柄だと余計に似合いそうだな」
「そうなの。だから本当に目立つの」
 美貌でも目立つということだった。
「奇麗なのよね。本当にね」
「そうか」
 だがそれを聞いても特にどうということは見せない正道だった。
「そんなにか」
「性格も親切でよく気がつくし。それでも」
「それでも?」
「正道君何とも思わないのね」
 ここで正道がその娘さんの話を聞いていても殆ど無反応なのに気付いたのである。
「どうしてなの?本当に奇麗で優しい人なのに」
「他の人に興味はないからな」
 これが正道の返答だった。
「だからな」
「興味がないって」
「隣にもういてくれるからいい」
 また返答を述べてみせた。
「それでな」
「そう。それでいいの」
 今度は照れ臭そうに俯く未晴だった。
「隣にもういるから」
「ああ、そうさ」
 未晴の横顔を見ての言葉だった。
「それでな」
「有り難う」
 未晴はその照れ臭そうな顔で礼を述べた。暗い中で目が慣れてきていて正道の目にもその照れ臭そうな笑みががはっきりと見えた。
「そう言ってくれて」
「そうか。それじゃあ」
「ええ。本当にお別れね」
 何はともあれもう家の玄関の前にいる。別れの時はすぐそこなのだ。
「今日はこれでね。それで」
「それで?」
「最後に御願いがあるけれど」
 未晴はこう言ってきたのだった。
「最後に。いいかしら」
「最後にか」
「ええ。本当に最後の御願い」
 念押しであった。
「あのね」
「ああ」
「目を閉じて」
 こう正道に言うのだった。
「目を閉じて。いいかしら」
「目をか」
 正道は未晴のその御願いを聞いて目をしばたかせた。酔いは次第に醒めようとしていた。もっとも酔っていても未晴の言葉はちゃんと聞こえていた。
「閉じるんだな」
「それだけでいいから」
 また言う未晴だった。
「駄目かしら」
「いいさ」
 正道はそれをいいというのだった。
「目を閉じるだけなんだな」
「そうよ」
 また言う未晴だった。
「御願いね。それじゃあ」
「ああ」
 正道は今未晴の言葉に応えた。そしてその目を閉じるのだった。
 すると正道の唇に何かが触れた。それは。
「何っ・・・・・・」
「ふふふ」
 その直後に未晴の笑い声
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