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ある晴れた日に
400部分:目を閉じてその二十七
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が聞こえた。目を開けるとそこに未晴が微笑んでいた。
「こういうことなのよ」
「唇か」
「そうよ。唇と唇」
 未晴は微笑んだまま正道に述べた。
「最後のね。お別れのね」
「今日のお別れのか」
「恋人同士でいいわよね」
 恋人同士だと。未晴はあらためて正道に言った。
「こういうことも」
「そうだな」
 正道は未晴のその言葉に頷いた。
「いいな。こういうことは」
「だからまたね」
 また言う未晴だった。
「また今度ね」
「ああ。そして最後にはまたな」
「そうよ。二人でこうして」
 未晴の微笑みはそのままだった。微笑んだまま未晴に述べ続ける。
「最後にはな」
「またね」
 最後の別れの言葉ではなかった。
「またね。ここでね」
「ああ、またな」
 正道も未晴の言葉に応える。
「ここでこうしてな」
「次の機会にね」
 未晴は最後に手を振った。正道は未晴のその手の動きに対して微笑みで返した。今二人は幸せの中にあった。しかしであった。それは突如として終わるものでもあった。


目を閉じて   完 


                  2009・8・5

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