第百六話 圧勝の後でその九
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「この城はだ」
「よりですね」
「拡大してだ」
良太にも話した。
「これから西に進む為のな」
「将来の拠点にですね」
「する、だから今のうちにな」
「拡大してですね」
「よりよい城にしてだ」
そうしてというのだ。
「やがて西に兵を進める時は」
「陸はですね」
「この姫路を拠点とする」
進出の足掛かりにするというのだ。
「いいな」
「では今から」
「城の拡大だ、それでだが」
英雄は五層七階の白鷺の様な天守閣の頂上から仲間達に話した。
「播磨はもうほぼ手中に収めた」
「ならですね」
「淡路もそうなっている」
幸正が進出を進めているこの島もというのだ。
「ならだ」
「完全に手中に収めたなら」
「大坂に戻る」
拠点であるこの街にというのだ。
「そして暫く休むか」
「そうですね、大和に播磨と」
「遠征が続いているな」
「一旦大和攻めが終わって休んでいますが」
それでもとだ、良太も話した。
「しかしです」
「それでもな」
「どうしてもです」
「兵達に疲れが溜まっている」
「そのことは間違いないですし」
それにとだ、良太は英雄に話した。
「一度拡大していっている領土を」
「治めることだな」
「はい」
その通りだというのだ。
「大坂に戻れば」
「紀伊攻めでなくな」
「今の領土をです」
「どうするかだな」
「あと法も」
これもというのだ。
「しかとです」
「定めておくことか」
「それもよいかと」
「そうだな、しかし」
「しかし？」
「法は忘れていた」
ここでだ、英雄は目を苦いものにさせて述べた。
「それはな」
「では」
「播磨を手に入れて帰るとな」
「それからですね」
「国を治めてな」
それと共にというのだ。
「法もだ」
「定めますね」
「そしてだ」
「国を確かに治める」
「今も法はあるが」
それでもとだ、英雄は良太に述べた。
「前からある様なな」
「所謂慣習法ですね」
「しかも文章になっていないな」
「成文法でなくてもいいですが」
「イギリスがそうだな」
「はい、私達が起きた世界では」
実はイギリスは成文法は存在しないのだ、全て慣習法より成り立っている。その為イギリスの法学者は他国のそれよりも随分と苦労するという。
「そうです」
「そうだったな、だがな」
「我々は、ですね」
「やはり成文法の方がな」
「いいと思われますか」
「迅速に法を定めて動かすならな」
そうしたいならというのだ。
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