第四十三話 関東のことその四
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「我等にも兵だけでなく注意もじゃ」
「一つにさせず」
「そして攻める、若し上田が我等のものになっていなければ」
「そうした攻めはですな」
「無理であったわ」
「しかしそれが出来るなら」
「それを使ってじゃ」
そしてと言うのだった。
「攻める、使える手はな」
「全て使ってですな」
「攻めて勝つのが戦じゃ、ではお主はじゃ」
幸村に言うのだった。
「わしと共に林城に来てもらうが」
「では」
「うむ、真田の他の者達はな」
「上田からですか」
「村上家と小笠原家を牽制し」
「隙があれば」
「攻め込むのじゃ」
そうせよと言うのだった。
「よいな」
「はい、そしてそれがしは」
「十勇士達と共にな」
「お館様と共にいて」
「必要とあればじゃ」
「十勇士達と共に」
「思う存分戦ってじゃ」
そうしてというのだ。
「武勲を挙げてもらうぞ」
「それでは」
幸村は応えた、そしてだった。
晴信は真田家の者達の殆どを上田に向けたうえで自身は武田の軍勢の主力と主な家臣達を率いてだっら。
諏訪の兜を被ったうえで出陣した、そうして風林火山の旗を見つつ山本に対してこんなことを言った。
「速きことはじゃ」
「風の如しですな」
「そして静かなることはな」
「林の如しで」
「攻めることはじゃ」
「火の如し」
「動かざることはじゃ」
「山の如しですな」
「そうじゃ、この旗の様に戦い」
そしてとだ、晴信はさらに言った。
「勝つ、二万の軍勢を動かしな」
「左様ですな、それでなのですが」
「上田からはか」
「はい、真田殿がです」
「しきりに動いてくれる筈じゃ」
「ならばですな」
「村上家も小笠原家もな」
「迂闊に攻められぬ、そこをじゃ」
「我等はですな」
「攻める」
攻めるのに苦しむ相手をというのだ。
「そして源次郎と十勇士達もな」
「使いますな」
「あの者達は大きい」
武田家にとってというのだ。
「その力を存分に使ってもらいな」
「そのうえで」
「勝つつもりじゃ、若し真田家と上田がなければ」
その時どうなっていたか、晴信は難しい顔で述べた。
「我等は二万の軍勢で攻めてもな」
「村上家そして小笠原家に勝つことは」
「難しいであろうな」
「今考えているよりも」
「そして多くの家臣や兵達をじゃ」
戦の中でというのだった。
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