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ある晴れた日に
390部分:目を閉じてその十七
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目を閉じてその十七

「最近阪神も調子悪いし」
「それでウォッカかよ」
「実際に飲んでみるとこれがいいのよ」
 さらに一杯あおる静華だった。
「オレンジの甘さと見事にマッチしてね。最高にね」
「けれどこれストレートじゃねえかよ」
 野本はここでまた自分の前に置かれたウォッカを見た。少し見ただけではそれはただの透き通ったものに見える。水に見えないこともない。
「スクリュードライバーじゃなくてよ」
「大した違いねえだろ」
「なあ」
 こう言い合う佐々と坪本だった。
「そんなのよ」
「だからこれ飲んで気が楽になれよ」
「じゃあ飲むぜ」
 ここでやっとそのウォッカを手に取る野本だった。
「ぐいっとな」
「ほら、やれやれ」
「早く幸せになれ」
 今度彼を煽ったのは野茂と坂上であった。
「それ一気に飲んでな」
「それだけでいいんだからな」
「よしっ」
 掛け声と共にそのウォッカを飲んでしまうのだった。それも一気に、であった。
 飲むと身体中にその熱さが一気に走る。まさに五臓六腑を駆け巡る、であった。
 その熱さと共に酒が一気に回る。まさにウォッカの走りであった。野本は今それを実際に感じ取りそのうえで一旦落ち着いてから皆に述べた。
「凄いな、こりゃ」
「どうだよ。幸せになったか?」
「楽しくなったか?」
「まあな」
 先程よりも楽しそうな顔になっていた。どうやら彼は笑い上戸らしい。
 そしてそのうえで。こう皆に言うのだった。
「それでみなしごハッチの曲な」
「ああ」
「歌っていいわよね」
「ああ、いいぜ」
 笑ってこう言ったのであった。
「好きにしなよ」
「よし、じゃあキャプテンハーロック入れるか」
「あと宇宙戦艦ヤマトな」
 ところが皆みなしごハッチは入れずにそちらを選ぶのだった。
「他にはスリーナインもいいな」
「ゴダイゴだけじゃなくてアルフィーのも入れましょう」
「おい、ハッチじゃねえのかよ」
 その皆の行動を見て思わず突っ込み返す野本だった。
「そういったからまあいいかってなったんだけれどよ」
「まあそこで嫌だって言ったら入れてたかも」
 咲は少し冷静な調子でその野本に述べるのだった。
「実際のところね」
「あたしは絶対に入れてた」
 春華は真顔であった。
「ここで入れるんじゃねえって言ったらな」
「そうだったのかよ」
 何となく皆の考えがわかった野本であった。
「あえて受けるってのも大事なんだな」
「そう思うよ」
 竹山は静かに従兄弟に対して告げた。
「事実は事実なんだしね」
「事実か」
 竹山の今の言葉に反応してみせたのは野本ではなかった。別の人間だった。皆彼のその言葉を聞いて少し驚いたがそれでも聞いた。
「えっ、あんたがここで」

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