第1部
ロマリア〜シャンパーニの塔
危険な盗賊退治(シャンパーニの塔にて)
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「う〜、最悪だぜ……」
簡易テントの中からひょっこりと現われたナギの顔は、昨日と打って変わってげんなりとしていた。
「どうしたの?」
「どーしたもこーしたも、すっげー不快な夢見ちまったぜ……。せっかく昨日はさわやかな目覚めだったのによぉ……」
「いったいどんな夢見たの?」
「聞くな。口に出したくもない……」
まあ他人が見た夢にあれこれ言っても仕方ない。私は苦笑しながら、話を切り上げ出発の準備を始めた。
二日目、三日目と、日を重ねるごとに魔物と遭遇する回数は多くなっていった。けれど戦ってきたおかげで低かった私のレベルもいくつか上がることができた。ナギはもちろん、シーラも同じように経験値が増えたようだ。そんな中―――。
「危ないシーラ!!」
バシッ!!
シーラに降りかかる無数の石つぶてをかばったのだが、その時左腕に衝撃が走った。
私は急いで薬草を取り出したが、なかなか痛みは治まらない。
「大丈夫、シーラ?」
「ごめん、ごめんねミオちん……! あたし、ミオちんを助けるつもりだったのに……」
実はその石つぶてを放ったのは、シーラだった。だが、コントロールが悪かったらしく、味方のほうへ全部飛んでしまったのだ。
「気にしないで、ありがとう」
「おい! こっちは大体片付いたぞ!!」
汗だくになりながらも目の前の魔物を全て片付けたナギがこちらに向かってくる。
「よかった! まだこっち3体いるの!! お願い!!」
私の返事を待たずに、ナギが一体のキャタピラーをナイフで突き刺した。
「うわぁぁん、ミオちん〜〜〜!!」
「あーもーうっせえ!! もう大丈夫だから泣くんじゃねえ!!」
こういうパターンが何回かあって。
……やっぱりユウリがいないと大変だっていうのは、この旅路で少なからず感じてしまった。
毎日野宿をし、町を出る前にあんなに買いだめした携帯食料も底をつき始めた6日目の朝、ようやく目的地であるシャンパーニの塔に到着することが出来た。
「ふあ〜、長かった〜」
私が疲労困憊で思わずため息をつくと、ナギがあきれたように言った。
「何言ってんだ。本題はこれからだろ」
「あ、うん、そうだよね」
私は照れ笑いをしながら、塔を見上げる。目の前にそそり立つその建物は、外壁がところどころはがれていたりヒビが入ってたりして、とても人が住んでいるという感じではない。ナジミの塔に比べてだいぶ老朽化が進んでいるように見えた。
「この塔のどこに盗賊がいるんだろ?」
「ま、オレの勘が正しければ一番上だろうな」
自信ありげに推理するナギの姿は、なんとなくユウリに似ていた。ユウリの代わりにリーダーになってくれてるのかな。
そしてナギは、真剣な面持ちで皆を振り返った。
「よし、じゃあ早速今から中に入るけど、みん
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