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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第60話 生誕祭 後編
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旅団っていう猟兵団の一員だって聞いたわ。あたしって猟兵についてはあんまり知らないのよね。普段どんな仕事をしてるの?」
「エステルさんは俺達が猟兵だって知っても何も思わないんですか?」


 シェラザードやカルナ、エルナンにジンとグラッツなどの遊撃士協会の関係者はわたし達を受け入れてはくれたが、わたし達を見る目にほんの少し警戒の色があった。それは仕方ない事だと自負している、だって普段は敵対している関係だからだ。前みたいに純粋に接する事は無理だろう。   

 
 でもエステルだけはそんなものは一切なく、純粋に気になって質問しているのが分かった。そんなエステルにリィンは意外そうなものを見るような眼で彼女にわたし達が猟兵であることに何も思わないのかと質問した。


「そりゃあたしも遊撃士と猟兵が相いれない関係だってことくらいは知っているわ。でも二人はあたし達を助けてくれた良い人だから怖いとか危ないとか全然思わないわ」
「……」
「……エステルらしいね」


 さも当然のようにわたし達を良い人だと言ったエステル、そんな彼女にリィンはポカーンッとした表情を見せ、わたしも苦笑してしまった。エステルって本当に優しい子だよね。


「エステルさん、ありがとうございます」
「えへへ、どういたしまして」


 頭を下げるリィンに太陽のような笑みで返すエステル、彼女を見ていると毒気が抜かれてしまう。


「あっそうだ。エステルさん、これを受け取ってください」
「ふえっ、何これ?」
「騙していたお詫びに女性陣に贈り物を送っているんです。こんなもので許してもらえるとは思っていませんが、良ければ受け取ってもらえますか?」
「そんな気にしなくてもいいのに……でも折角だから頂くわね」


 エステルは可愛らしい模様の描かれた袋から二つの髪留めが出てくると嬉しそうにほほ笑んだ。


「わぁ、綺麗な髪留めね。丁度こういうのが欲しかったのよ、ありがとうリィン君!」
「喜んでもらえたのなら良かったです。ヨシュアさんにも何か買おうと思ったのですが、生憎手持ちのミラがもう少なくて……また後日に何か贈り物を……ヨシュアさん?」
「……えっ?何か言ったかい?」
「ヨシュア、大丈夫?顔色が悪いけど……」
「……ああ、大丈夫だよ」


 リィンがヨシュアに声をかけるが反応が遅かった。今日は何だかヨシュアの様子がおかしいね、さっきから一言も喋らないし顔色もどこか悪く見える。わたしが声をかけても大丈夫だと言ったがどう見ても具合が悪そうだ。


「さっきアイスを買いに行ってから様子が変なのよ。具合が悪いのならお城に戻って休もうって言っても聞かないし」
「もしかして俺達が一緒にいるからですか?」


 そっか、エステルは受
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