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ポケットモンスター〜翠の少年の物語〜
第七話
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、椅子に座った僕は、この二日の間にあったことを父さんに話していた。母さんは、買い忘れているものがあったと、急いで買い物に出かけていた。
 …………アクア団と遭遇したことを除いて。

「一緒にいたユウキくんが言うには、人の仕業じゃ無いかって……」
「ありえない話ではないな。事実、バトルで負けた腹いせに、自分のポケモンに手を出すトレーナーも居るからな」

 父さんは腕組みをして、なにか考え込んでいる様子だった。気になることでもあるのだろうか。

「……しかし、そのラルトス、よくミツルに心を開いたな。なにかしたのか?」
「…………心当たり無いよ」

 父さんの疑問は当然のことで、なぜラルトスが僕のことを信じてくれたのかは、全くの謎だった。
 ユウキくんの言葉を使うが、野生のポケモンが人間から傷つけられたら、人間そのものに対して不信感を抱いてもおかしくない。

「考えられるのは、ラルトスがお前の事を気に入ったのか、ユウキくんだったかな?の、仮定が間違ってるか」
「……そうなんだよね……僕には全く分かんないや」

 僕はため息をついて、椅子に深く座り直した。答えの出そうにない問題を考え続けるのは、非常に疲れる。ただでさえ、なれない事をしてきたのだ。早くベッドで寝たい。

「…………………」

 すると、そんな僕を父さんはじっと見つめてきていた。今までにないほど、真剣な目付きだった。

「…………父さん?どうしたの?」
「……ああ、いや。なんか……雰囲気変わったな、って」
「?」

 父さんの言葉を聞いても、僕にはなんの事か、さっぱり分からなかった。

「なんと言うか……覚悟を決めた顔してるというか……凛々しくなったというか……何かあったのか?」
「そりゃあ、何かはあったけど……凛々しくなるって、なんなの?」

 父さんからの指摘を、僕は軽く笑って流した。人は、そう簡単に変われるものじゃ無いんだ。

「それじゃあ、僕はもう寝るね。明日もラルトスを迎えに行かなきゃ行けないし」
「あ、ああ……おやすみ」
「うん。おやすみなさい」

 僕はそう父さんに告げると、椅子から立ち上がり、リビングの扉を開けた。

「……やっぱり、変わったよ」

 父さんのそんな声は、僕には届かなかった。













─???─










 そこは、港のような場所だった。満点の青空の下、僕は大きな船を見上げていた。なぜそんな所にいるのかは分からなかったが、これからこの船に乗り込むのだということは理解していた。
 覚悟を決めた僕は、その船に乗るため、足を踏み出そうとした。



 
「──ミツルくんっ!!」




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