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ある晴れた日に
388部分:目を閉じてその十五
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目を閉じてその十五

「それでなんだよ。蜂嫌いなんだよ」
「まあ蜂って刺されたら下手したら死ぬしね」
「そうなんだよな。スズメバチなんかな」
 二人もそれはよく知っているのだった。
「咲も遊ぶ時注意しなさいってママに言われたわ」
「俺頭刺されたことあるぜ」
「ああ、だから御前馬鹿なんだな」
「だからだったの」
 皆今の野本の言葉に対して多いに頷くのだった。
「蜂のせいか。頭が悪いのは」
「納得したわ」
「っておい」
 野本は酒もあって目を座らせて皆の言葉に突っ込みを返した。
「俺が馬鹿だっていうのかよ」
「馬鹿じゃなかったら何だっていうのよ」
「カバの逆立ち?」
「それとも親父さんが馬でお袋さんが鹿か?」
「どれなのよ」
「全部一緒だろうが」
 確かにその通りであった。どちらにしろ同じ言葉になる。
「馬鹿ってことじゃねえか」
「だから蜂のせいだろ?それ」
「納得してあげてんのよ。これでも」
「こんなこと納得するんじゃねえよ」
 かなりムキになって怒っている野本だった。しかし顔が赤いのは酒のせいであった。
「ったくよお」
 そして手元にあったグラスを取ってそこに入ってあったオレンジの酒を一気飲みするのであった。それはスクリュードライバーであった。
「俺ばっかりぼろくそじゃねえか。大体話振ったのは桐生じゃねえかよ」
「だって僕刺されたのは右手だし」
「頭じゃねえのかよ」
「しかもアシナガバチだよ」
 確かに危険ではあるが命に問題になるようなことは殆どない蜂である。
「野本は何に刺されたんだよ、それで」
「全部だよ」
 こう答えるのだった。
「全部にな。頭に刺されたことあるんだよ」
「全部って?」
「ミツバチにそのアシナガバチにクマンバチにスズメバチな」
 確かに一通り揃っている。66
「全部に刺されてるんだよ、今までにな」
「あんたそれでよく生きてたわね」
「全くだぜ」
 皆それを聞いて今度は真面目に驚いていた。
「そこまで刺されて」
「下手したら死んでるぞ、それ」
「スズメバチが一番痛かったな」
 野本は今度は蜂自体の話もはじめた。
「あいつ等何回でも刺すしよ。集団で来るだろ?」
「ああ」
「蜂だしね」
 皆もそれは知っていた。
「脚も手も頭も何箇所も刺されたんだよ」
「何箇所位だよ、それで」
「刺されたのって」
「二十箇所位か?」
 その時のことを思い出しながらの言葉であった。
「やっぱりな」
「そうか。二十か」
「普通死ぬんじゃないの?」
「ちょっとな。中二の時に山で遊んでてよ」
「そこで刺されたってわけか」
「ああ。いきなり頭に痛みが来てな」
 話は実に生々しいものであった。
「振り向いたら蜂の大群でよ。咄嗟に逃げてしつこ
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