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レーヴァティン
第百六話 圧勝の後でその一

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               第百六話  圧勝の後で
 英雄は自分達の前に興福寺の僧兵を中心とした敵一万を前にしていた、彼はその敵軍を見てまずはこう言った。
「まことにばらばらだな」
「はい、武具も兵の種類もですね」
 謙二も彼等を見て言った。
「かなりです」
「槍の長さも違えばな」
「槍ではなく長刀を持っていたり」
 見ればそう兵達はそうしたものを持っている。
「陣形もそれぞれの勢力で違い」
「統一されていない」
「はい、何もかもが」
「しかも鉄砲は少なくだ」
「弓矢はありますが」
「大砲もない、騎馬隊はな」
「ないですね」
「勝てる、しかもだ」
 英雄はにこりともせずに言い切った。
「圧勝だ」
「それが出来ますね」
「絶対にな、ではだ」
「これより」
「敵が来るのを待ってな」
 そのうえでとだ、英雄はさらに言った。
「仕掛ける」
「まずはね」
 桜子の口調は何処か楽し気なものだった、英雄にその口調で言う。
「鉄砲でだね」
「撃ってだ」
「そこから槍や弓矢で寄せ付けないで」
「記を見計らってな」
「大砲だね」
「一発でいい」
 大砲を撃つ数、それはろいうのだ。
「それで敵を驚かせてだ」
「その隙にね」
「騎馬隊を横から突入させる」
 智が率いる彼等をというのだ。
「そうして敵に決定的な打撃を与えてだ」
「そうなればね」
「勝敗が決している」
 智が騎馬隊を敵の側面に突入させた時はというのだ。
「そしてだ」
「そこからさらにだね」
「全軍突撃だ」
「その頃にはもう敵は総崩れだね」
「そうなっている相手にだ」
 さらにというのだ。
「突撃を仕掛けてな」
「そうしてね」
「倒す、それでだ」
 まさにというのだ。
「いいな」
「ええ、それじゃあね」
「戦に入る、法螺貝を鳴らせ」
 戦のはじまりの合図となるそれをとだ、英雄はこのことも告げてだった。
 そうしてだった、英雄は興福寺達大和の諸勢力との戦に入った、だが英雄は彼の考え通り最初は軍勢と動かすことはなかった。
 そしてだ、兵達に確かな声で告げた。
「動くな、まずはだ」
「鉄砲ですね」
「あれを使いますね」
「そうだ、一斉に撃ってだ」
 そしてと言うのだ。
「そしてだ」
「その後は、ですね」
「棟梁がこれまで言われている通り」
「槍ですね」
「それを出すのですね」
「そうだ」
 こう答えるのだった。
「敵を近付かせるな、決してな」
「それが勝つコツですね」
「わし等がそうなる」
「その為にもですね」
「俺の言う通りにだ」
 まさにと言うのだった。
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