四十八枚目
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篝やヴァーリが二年生に進級する前の春休みの事だった。
「篝が襲ってくれません。アイデアください」
「そうじゃのぅ…」
「そうさなぁ…」
「そうだなぁ…」
「そうですねぇ…」
「え? 何この集まり? そんな事で私呼ばれたの? 魔王なのに?」
冥界某所に集まったヴァーリ、八坂、グザファン、ジュスヘル、朱璃、セラフォルー。
招集したのはヴァーリで議題は篝に関する事だった。
「ヴァーリよ。すでに色仕掛けはしたのじゃろう?」
と八坂。
「結構な頻度でお風呂に突撃してるよ」
「添い寝からどさくさ紛れにやったらどうだ?」
とグザファン。
「やろうとしたら逃げられて一緒に寝てくれなくなった」
「はぁ…まったくあの子ったら、そういう所ばっかりあの人に似て…」
朱璃がため息混じりに言った。
「うーむ……」
ジュスヘルが面子を見渡す。
「よし。この六人で媚薬を作ろう」
数日後、冥界、龍都カンヘリア。
「ふふふ…これで篝も私のダイナマイトボディにメロメロ…」
ヴァーリの手に握られているのは、フラスコだ。
紫色の透明な中に、ピンクのハートの泡が浮いている。
妖怪、神道、陰陽道、悪魔、堕天使の技術の粋を集めた媚薬だ。
ひと度匂いを嗅げば恋に落ち、一舐めすれば全てを捧げる。
そんな強力な薬が、フラスコいっぱい。
「いくら篝でもこの量をレジストはできないいよね」
ギィ…とヴァーリがドアをあける。
くぅ…すぅ…と寝息をたてる篝。
ヴァーリはそーっと篝の体を起こす。
「篝。起きて」
「んぅ……う"ぁーり…?」
うっすらと龍の瞳が開かれる。
「うん。とりあえずこれ飲んで?」
ヴァーリが篝の口元にフラスコをあて、傾ける。
寝起きで頭の回ってない篝は何の疑いも持たず、薬を全て飲み込んだ。
「けふっ……ジュース?」
「うん」
「………………………おやすみ」
「あっれぇ!?」
再び横になった篝に困惑するヴァーリ。
「え?え? なんで? 嘘でしょ? ドラゴン・アップルベースの媚薬なのに…」
ヴァーリは篝の肩を揺する。
「起きてよぉ!」
「グルルルル…」
それはヴァーリが一度も聞いた事の無い声だった。
『色呆け白龍皇め。少しは反省することだ。アルビオン。あまり甘やかすな。今回は放置しておけ』
「セルピヌ……きゃっ!?」
気づけば、ヴァーリは組み伏せられていた。
「グルルゥゥ……」
篝は龍人の本性を顕していた。
瞳は血走り、頬は紅潮している。
その上、ヴ
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