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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第54話 謹慎? んなのどーでもよくね
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「良いのですか?」
「はい??」
◇ ◇ ◇
「らんららんらら〜ん♪」
「夜になっても絶好調かよ……」
「楽しかったんですもん! トラックに轢かれそうになっているお姉さんと赤ちゃんを助けたり、元カノに襲われかけていた男性を助けたり」
「マフィアがそれでいいのか?」
「人は皆自由であるべきです。それがマフィアであっても、です」
「ふーん……」
とそこで目の前に不審人物を発見。
パンツ一丁で道路に蹲っている男性が居たのだ。
「なんですか、あれ」
「知らね」
「流石に声を掛けにくいので、声を掛けてくれませんか?」
「嫌だ! 絶対、い、や、だ??」
「……たすけてくれぇえええええ……! 僕にお金を恵んでくれぇええええ……??」
「……だそうだ。黒華」
男性が倒れているのはカジノの入り口。きっと、賭けに負け続けて全部取られてしまったのだろう。
まぁ、賭け事で失敗した人に掛ける慈悲なんて、親族でも友人でも無いのだから、ない???
「どーしましたか。おにーさん」
出来るだけ男性を直視しない様にしながら、私は問い掛ける。
まぁ、賭け事がなんだって話ですよね。優しい私は助けてあげるのです。
「今手持ちのお金は? 無一文という訳では無いですよね?」
「百五十円……それしかねぇ……」
「なら百円下さい。足りない分は私が出しましょう。三十分後くらいに帰って来ますので、それまで私の連れと一緒に待ってて下さい」
という訳で、いっちょ、カジノを荒らしに行きましょうかね。
最低賭け金が安いところで、只管増やしたら、高いところに行って一気に稼ぐ。
三十分後、何故かディーラーさんに強制退場させられた。悪い事はしてないですよ?
「お待たせしました。これだけあれば充分ですか?」
「え、こんなに……というか、貰えませんよ?? こんな額??」
「大丈夫です。足りなかった分で私が足したお金は既にそこから抜き取ってありますから。これからは、服まで毟り取られる前にやめて下さいね。あ、服も買い戻して来ましたので。では」
長引くのも面倒臭いので、直ぐに其の場を後にする。
「……謹慎って言葉の意味、知ってるか?」
「さぁ? 知りませんねぇ」
謹慎初日。
まだまだ、休みは始まったばかりだ。
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