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ある晴れた日に
38部分:噂はそよ風の様にその十五
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噂はそよ風の様にその十五

「あれで寂しがり屋なのよ」
「ああ、そうなのか」
 これを聞いて少し意外そうな正道だった。
「それはまた」
「わかりにくいみたいね」
「いつも何かぶりっ子してるってイメージはあるけれどな」
「咲は女の子らしいのが好きなの」
 未晴の言葉ではこうなるのだった。
「趣味がそうなのよ」
「趣味か」
「咲の家ってあれじゃない」
 今度は咲の家について話す未晴だった。
「お父さんが八条百貨店の重役さんでしょ」
「ああ」
「それで忙しくてお家にあまりいなくて」
 このことは容易にわかることだった。地位が高ければそれだけ忙しくなる。これは社会の自明の理であり咲の父も例外ではなかったのだった。
「お母さんもお母さんで。お茶とお花の家元で」
「忙しかったんだな」
「お兄さんも歳が離れていてあまり会うこともなかったそうだし」
「ずっと一人だったんだな」
「そうなの。お家でいつも犬や猫と一緒だったみたい」
 それが咲の幼い頃だったというのだ。思えば確かに寂しいものがある。
「可愛がっていたし使用人の人達もいたけれどね。それでも」
「家族はいなかったんだな」
「そうなの。咲とはね」
 少し顔を見上げさせて言う。
「小学校一年の頃にはじめて一緒になったけれど」
「付き合いはそこからか」
「うん。その時、凄い寂しそうな顔してたわ」
「あいつがなあ」
 それを聞いて再び複雑な顔になる正道だった。
「何かそれを聞くとな。本当に」
「今のメンバーが一緒になったのはその一年の時だったけれどそれでも」
「それでも?」
「やっぱり今でも誰かいないとすぐに駄目になっちゃうの」
 咲のトラウマであるらしい。
「だからいつも皆と一緒にいてアルバムも一杯作ってね」
「アルバムまで作ってるのか」
「咲には内緒よ。って言っても」
 少し苦笑いになる未晴だった。
「咲の方で持って来たりするけれど」
「それじゃ内緒にする意味はないんじゃないのか?」
「それでもよ。気を使ってね」
「あいつに気を使うのか」
 こう考えると今一つ乗り気のしない正道だった。
「どうもな。それはな」
「あれでもいい娘なのよ」
 このことは強調する未晴だった。
「気儘なところもあるけれど」
「っていうかピンクハウスかよ」
 このことにも眉を顰めさせる正道だった。
「あいつの趣味は本当にな」
「だから。女の子らしいから」
 未晴は言葉を繰り返す。
「それでなのよ」
「彼氏もいるんだよな」
「加藤さんね」
「ホークスファンなのに名前がカープ系列の人だったよな」
「あの人今カープにいないけれど」
 意外と野球に詳しい未晴である。
「それでもカープなの?」
「うちの親父は言ってるぞ」
 野球
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