第四章
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ナポレオンも親しい部下達に暖炉の傍で大好きな怪談の合間にジョゼフィーヌとの結婚のことを話してだ。
ここでだ、こう言ったのだ。
「私は彼女と結婚するには若い」
「六歳でしたね」
「六歳年下でしたね」
「そうだ、ここまで離れているとな」
どうにもというのだ。
「困るな」
「だからですね」
「この度はどうするか」
「そのことがですね」
「問題だ、どうすべきか」
部下達に困った顔で言うのだった。
「一体」
「そうですね、それならです」
部下の中で機転の利く者が提案した。
「結婚証明書のうえですが」
「公のことでか」
「これ位は許されるでしょうから」
幾ら公のこととはいえ、というのだ。
「閣下の年齢を実際よりも年上にされては」
「そうすればいいか」
「はい、その様にすればです」
それでというのだ。
「いいのでは」
「年齢をサバ読みするのか」
「多い方に」
「普通は若くするものだが」
「そこをあえてです」
今回のナポレオンはというのだ。
「そうされては」
「そうだな」
ナポレオンはその士官の言葉を聞いてだ、そして彼に言った。
「ならだ」
「はい、この度はですね」
「年齢を一歳半だ」
「多くされて」
「そのうえで結婚証明書に書こう」
「そうされますね」
「ジョゼフィーヌは自分ではひた隠しにしているが」
だがナポレオンにはわかったのだ、持ち前の洞察力を以て。
「私より六歳も上なのだ」
「六歳も開いていますと」
「流石にな」
「左様ですね」
「色々言う者がいる」
「男がそうならいいのですが」
「女の方がだとな」
その場合はというのだ。
「どうしてもだ」
「何かと言う人がいますね」
「そうなってはジョゼフィーヌが気の毒だ」
愛する妻となる女性がというのだ、ナポレオンは何時しか彼女を心から愛する様になっているのだ。
「だからだ」
「それで、ですね」
「彼女にはせめて書類の上でもな」
「閣下に近い年齢にされたいのですね」
「六歳よりも四歳半ならな」
「まだ、ですね」
「世間鯛もいいだろう、ではだ」
ナポレオンは士官にあらためて述べた。
「君の言う通りにしよう」
「それでは」
こうしてだった、ナポレオンは結婚証明書には自分の年齢を一歳半程高く書いた、だがジョセフィーヌもだった。
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