プロローグ
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
熟だから、そこで応援しつつ先輩たちの戦いを勉強してろ!」
「はい……」
はあ、と和咲はまたため息を吐くと、がっくり項垂れた。
「まあ確かに、油断をしていたわたしが悪いか。……よおし、落ち込んじゃいられない。世界を守るためえ、しっかり治奈ちゃんたちの戦いを勉強するぞお! みんなあ、頑張れえ! 和美ちゃん、治奈ちゃん、成葉ちゃん、正香ちゃあん、気合いだああ! 気合いだあああ!」
「うっせえなあ、あいつはもう」
和美は苦笑しながらもヴァイスタの集団の中へ単身を踊らせて、ぶうんぶうんと伸びしなり襲ってくる無数の凶悪な腕を見切りかいくぐり、まるで舞いのように全身を使いつつ両手のナイフを走らせた。
「ほうじゃけど、そがいなとこが和咲ちゃんのええとこじゃからなあ。……イヒベルデベシュテレン!」
治奈は薄青く輝く自らの右手を、和美のナイフで切り刻まれて動きの止まっているヴァイスタたちに一体二体と当てていく。
右手を高く上げ、指をパチンと鳴らすと、またもやコマ送り逆再生のようにヴァイスタたちの切り刻まれた肉体がもとに戻って、
それぞれの顔に現れた魚のような小さい口が、それぞれニーッと笑うと、次々と頭から溶けて消滅していった。
和美と治奈は微笑み向き合うとハイタッチをかわした。
「ナルハにお任せえ!」
もう一方の側から、なんとも甲高い叫び声。
黄色い戦闘服を着ている成葉が、小柄な身体に似合わない巨大な刀をぶうんぶうんと振っている。
ただ刀の重みに振り回されているだけにも見えるが、意外にも攻撃は的確で、ヴァイスタの胴体が次々とザクザクと切り裂かれていく。
しかし……
「はにゃあ。もうフラフラだあ……」
五体のヴィアスタに一通りのダメージを与えると、目をぐるぐる回して酔っぱらいのようによろけ出した。
「では、わたくしが昇天させましょう」
長い黒髪に上品な声、緑の戦闘服姿の正香は、手にしている鎖鎌を腰にひっかけ吊るすと、
「イヒベルデベシュテレン ゲーナックヘッレ」
呪文を唱え、薄青く光る右手で次々とヴァイスタの胴体に触れていった。
ちち、ちち、
ちち、
成葉の大刀でズタボロにされたヴァイスタたちの胴体が、すーっと元に戻っていく。
そして、ヴァイスタたちそれぞれの顔に小さな口が出現し、両端を釣り上げて不気味な笑みを浮かべると、頭から光る粒になって空気に溶け消えた。
静寂。
この歪んだ空間にいるのは、少女たち五人だけになった。
「任務完了っと」
成葉は自分の胸の高さほどもある大刀を振り回し背中に引っ掛けると、満足げな笑みを浮かべた。
「やっぱり凄いなあ、みんな……」
和咲は、先輩たちの戦闘力の高さに口を半開き
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ