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二人から四人へ
第五章
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「そうだな」
「それでは」
「御前達もそれでいいか」
 風の神は兄弟達にあらためて尋ねた。
「そうしていいか」
「断る理由はないな」
「そうだな」
 兄弟は風の神の言葉に頷いた。
「我等はどちらも妻がいない」
「そしてこれはいい機会だ」
「貰ってくれとまで言われている」
「それならな」
「ここはな」
「受けるのが礼儀でもあるしな」
 二人も特に断る理由はなかった、それでだった。
 二人はそれぞれ太陽の神の娘を妻に迎えることにした、オルダヌィが姉をソルダヌィが妹なったが。
 このことについて風の神は笑って言った。
「それが筋だな」
「兄が姉でか」
「弟が妹でか」
「そうだ、好みの問題があるがな」
 それでもというのだ。
「こうした場合はだ」
「兄が姉を妻に持ちか」
「弟は妹を得るべきか」
「そうだ、ではだ」
 このことも決まったからだというのだ、結婚相手のことも。
「御前達は幸せに過ごす様にな」
「わかった、ではな」
「その様にさせてもらう」
 是非にとだ、二人も頷いてだった。
 一旦平原に戻りそこで家を引き払い太陽の神の下に戻り彼の娘婿として暮らした。それで風の神にも言った。
「全ては御前の勧めを聞いてだったな」
「今の様になったな」
「ははは、それは御前達の決断だ」 
 それでそうなったとだ、風の神は二人に話した。
「確かに俺は勧めたがな」
「それでもか」
「我等の決断があってか」
「そしてあの邪神を倒したのもな」
 このこともというのだ。
「俺は勧めたが行ったのは御前達だ、決めて動いたなら」
「それならか」
「その場合はか」
「幸せは御前達のものだ、これから幸せに過ごせ」
「しかし御前が勧めたのは事実」
「礼をさせてもらいたい」
 こう言ってだ、二人は風の神に自分達が狩った大きな鹿を一頭差し出した。そうしてそれを差し出して言うのだった。
「貰ってくれ」
「是非な」
「勧めてくれたのは事実だ」
「そのことを有り難く思っているからな」
「そうか、勧めもそれが正しいならか」
「決断と行動が正しいなら幸せを得られる」
「なら勧めもでないか」
 是非にとだ、兄弟は言ってだった。
 風の神に鹿をあらためて差し出した、そして風の神もだった。
 遂にその鹿を受け取った、そのうえで二人に言った。
「ではな、御前達の勧めに従ってな」
「そして鹿を食ってくれ」
「そうしてくれ」
「そして幸せになってくれ」
「是非な」
「そうならせてもらう」
 風の神は微笑んでだった、そのうえで。
 彼は鹿を受け取り家で妻と共にその鹿を食って幸せになった、兄弟も風の神も幸せになった。シベリアの古い物語である。


二人から四人に   完


      
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