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ある晴れた日に
378部分:目を閉じてその五
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目を閉じてその五

「全くどうなんだよ、今年は特に」
「これじゃあ本当に百敗いくかもね」
「さて、今日のびっくりメニューも」
 皆ここでびっくりメニューの話もした。
「何が出て来るのかしらね」
「そうなのよね。本当に何が出ても不思議じゃないわ」
「皆チューハイだけれどよ」
 ここで飲んでいるものについて述べられたのだった。
「何が出て来るんだろうな」
「さあ。とんてもないものは間違いないけれど」
「何かしら」
「本当に何が出て来るか」
 どうしてもそれがわからず不安なのである。
「ガムとか?」
「ガムが五百円もしたらぼったくりだろうがよ」
 流石にそれはないと否定された。
「幾ら何でもそれはな」
「ないか、やっぱり」
「もっとえげつないものだろ?」
 つまりガムどころではないということであった。
「何かわからねえけれどよ」
「チューハイに何かしら」
 こんな話をしているとだった。不意に扉をノックする音が聞こえてきたのであった。
「来たわね」
「ああ」
 皆ここで顔を見合わせる。かなり深刻な顔になっている。
「何が出て来るかな」
「さてね」
 何はともあれ扉を開ける。そこにはエプロン姿の明日夢が台車を持って来て立っていた。言うまでもなくその顔は憮然としきったものだった。
「負けたみたいね」
「そうだな」
 皆その顔を見てあらためて話す。
「あれはどう見てもな」
「そうだよな」
 ベイスターズが負けたことをここですぐに悟ったのだった。わかってはいてもそれでもだった。嫌な現実が不気味な顎を開いているのだった。
「じゃあ出て来るのは何だ?」
「何が出て来るんだ?」
 皆期待と恐怖が入り混じったスリルの中で見守っていた。そうして出て来たのは。
「はい、オムライスよ」
 大きな皿に一杯のオムライスがどんどん運ばれて来る。しかもオムライスの常としてそのオムライスにはケチャップを並々とかけられていた。
「チューハイにケチャップか」
「しかもオムライスって」
「思いきり甘くしておいたからね」
 しかも明日夢は言葉を言い加えてきた。
「楽しんで食べてね、皆」
「いや、無理なんですけれど」
 咲はそのオムライスを呆然とした目で見ながら明日夢に述べた。
「チューハイにオムライスって」
「美味しいわよ」
「美味いとかそういう問題じゃねえからよ」
「右に同じな」
 野茂と佐々も咲と同じ目になっている。
「この組み合わせもねえだろうがよ」
「しかも卵の中ってよ」
「勿論チキンライスよ」
 明日夢は憮然とした顔で平然と答えてみせた。
「だからさあ。楽しく食べてね」
「悪い、無理」
「この組み合わせは入らねえ」
 坂上と坪本は丁度そのチューハイを片手にしていた。

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