第三章
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「劉殿は女好きが過ぎます」
「あの人の女好きはどうも」
「若い時からで」
「奥さんも困っていますな」
「何かと」
「そうですね、董殿は吝嗇です」
つまりケチだというのだ。
「それがよくありません、呂殿は乱暴ですし」
「よく暴れていますな」
「すぐに手を出す方です」
「孫殿は深酒、どの方もです」
今言った者達はというのだ。
「こういったところがあるので」
「よくない」
「そう言われますか」
「はい」
まさにと言うのだった。
「私としましては」
「どの方もですか」
「お勧め出来ない」
「そうなのですね」
「全く以てとの方もです」
子貢はやれやれといった顔で述べた。
「どうにもなりません」
「左様ですか」
「では、ですね」
「子貢殿はあの方々は好きになれない」
「そうなのですね」
「嫌いではないですがどうかと思っています」
これが子貢の返事だった。
「全く以てどの方も至りません」
「ではやはりですね」
「子貢殿が第一とされる方は孔丘殿ですね」
孔子のことだ、孔子の名は丘といい字は仲尼というのだ。
「あの方ですね」
「そうなのですね」
「その通りです、我が師はです」
子貢は誇らしげな笑みで周りの者達に師のことを語りだした、他の者達の短所を次から次に言ったところで。
この話は自然と孔子の耳に入った、すると彼は一旦瞑目しそのうえでその話を知らせてくれた者に語った。
「時が来ましたな」
「時がですか」
「はい、あの者に言う時が」
まさにその時がというのだ。
「来ました」
「そうなのですか」
「はい、ですから」
それでと言うのだった。
「これからあの者を呼び」
「そのうえで」
「私が直接話します」
「そうしてですね」
「あの者を正します」
「そうされますか」
「その時がまさに来ましたので」
だからこそというのだ。
「言っておきます」
「そうですか、では」
「後は私が何とかします」
師である自分がとだ、孔子は言ってだった。
そしてだ、自分の屋敷に子貢を読んでだった。彼の聡明さがはっきりと出ているきりっとした顔を見つつ話した。
「そなた、近頃人のことを言っておるな」
「はい、そうですが」
「そなた偉いのだな」
孔子は真面目な顔だがややシニカルな口調で述べた。
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