二十四 昨日の敵は今日の友
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里外じゃないと姿を見せられないということは、何かしら事件を起こした罪人という事だろうか。
木から木へと跳躍しながらシカマルが思案に沈んでいる矢先、ナルが苛立ち雑じりに先へ向かう。ヤマトが呼ぶ声を振り切って、ナルは木の枝を強く蹴った。
「なんなら、もうオレとシカマルとヤマト隊長だけで天地橋へ向かうってばよ!!」
一向に姿を見せない相手に焦れて叫んだナルの声は、両隣から聞こえてきた声にかき消された。
「「つれねぇなぁ」」
いきなり聞こえてきた声にビクリと肩を跳ね上げたナルの足が着地に失敗する。ずるり、と木の枝から滑って、身体が真っ逆さまになる。
落下しかけたその瞬間、足首を何かがつかまえた。
人間の手ではない。なにか細くて粘り気がある────蜘蛛の糸。
「落ち着くぜよ」
どこかで聞き覚えのある声が真下から聞こえてきて、ナルは宙ぶらりんになったまま、視線を落とした。
「お、お前らは…!!??」
「よお」
逆さまになったまま、驚愕するナルの前で、鬼童丸が悠然と手をあげる。
里を抜けたサスケを追い駆ける際に対峙した『音の五人衆』のひとりである彼の登場に、ナルは口をぱくぱく開閉させた。
鬼童丸の蜘蛛の糸で落下せずに済んだものの、逆さま状態のナルの許へ向かったシカマルはようやく姿を見せた二人を視界の端で認める。
『音の五人衆』の子ども達は何れも死んだことになっていた。
一つは、土砂に埋もれ、窒息死した死体────ナルと闘った次郎坊
一つは、『終末の谷』の下流で浮かんでいた水死体────ネジと闘った君麻呂。
一つは、首を掻っ切り、自害した死体────キバと闘った多由也。
そして、いのと闘った左近も崖から墜落死し、ヒナタ&シノと闘った鬼童丸も蟲によって死んだはずだった。
だからこうして生きている二人と会って眼を白黒させるナルの隣で、シカマルは綱手の意味深な言葉を思い出して、眉を顰める。
(なるほど……死人、ね)
実際は君麻呂・多由也・次郎坊が生きているとは露知らず。
事前に火影からそれとなく聞いていても、鬼童丸と左近をこの目で実際に見たシカマルの口から「生きていたのか…」と思わず呟きが零れた。
「昨日の敵は今日の友っていうだろ?」
にやり、と口元に弧を描いて左近が笑う。
人気のない深い森の中でようやく対面した新メンバー。
死んだとされている人間ならば、確かに木ノ葉の里で大っぴらに顔を出せないだろう。
故に里を出た後もなかなか姿を見せなかった二人に対し、困惑顔だったナルの表情が次第に変わってゆく。
「おっせーんだってばよ!!」
生きていた
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