第一章
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石神の場所
パラオに古くから伝わる話である。
この国に昔ブケオ=アボーズルという男がいた。身分は低かったが大層な美男子でパラオの女達は誰もが彼に夢中になった。
それは男達も同じで彼はその顔立ちで誰からも好かれた。しかし彼はこれだけでは駄目だと思い祖父に相談した。
「人間顔だけでは駄目ですね」
「当然のことだ」
言うまでもないとだ、祖父は孫に答えた。
「そいのことはな」
「やはりそうですね」
「よくそのことに気付いた」
祖父はブケオの非常に整った顔を見つつ笑顔で言った。
「人間確かに顔がいいに越したことはないが」
「それだけではないですね」
「長生きしていると顔が変わる」
「顔がですか」
「整った顔にも人生が出て来るのだ」
それがというのだ。
「これまで生きてきたな」
「そうなのですか」
「そうだ、そして悪い人生を歩んでいるとな」
「悪い顔になる」
「そうなのじゃ」
まだ幼さの残る孫にこのことを話した。
「だからな」
「人は顔だけでなく」
「確かなものを見に着けてな」
そうしてというのだ。
「確かに生きる」
「このことが大事ですね」
「それでじゃ、お主は体格もよい」
長身でしかも引き締まった身体をしている、孫のこのことを見て言うのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「何なら兵法と武芸を学ぶことじゃ」
この二つをというのだ。
「そうせよ」
「兵法と武芸ですか」
「そうじゃ、丁度ガルムヌグイに兵法と槍の達人がおってな」
「その方のところに行き」
「そのうえで双方を学ぶのじゃ」
兵法と槍をというのだ。
「そうしてはどうじゃ」
「わかりました」
ブケオは祖父のその言葉に頷いて答えた、こうしてだった。
ブケオは実際にガルムヌグイに行き兵法と槍の達人である老人の家に行きそのうえで彼に弟子入りを頼み込んだ、だが。
その彼にだ、白い髭を生やした立派な体格の老人は言うのだった。
「この島々で大事なものは何じゃ」
「海でしょうか」
ブケオは老人にすぐに答えた。
「どの島も海に囲まれています、ですから」
「ですから、何じゃ」
「行き来には船に乗るか泳ぐかです」
「その二つが大事じゃな」
「どちらも出来ないとです」
それこそというのだ。
「人は今住んでいる島から出られません」
「そうじゃな、ではまずはじゃ」
老人はブケオの言葉を聞いて彼に告げた。
「島々を全てじゃ」
「全ての島をですか」
「まずは船を故意で巡り」
そしてというのだ。
「次は泳いでじゃ」
「そうしてですか」
「巡りそれぞれの島にしかいない貝を証拠として獲って来てじゃ」
「ここに証として持って来いというのですね」
「左
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