暁 〜小説投稿サイト〜
ロックマンX〜Vermilion Warrior〜
最終話:天より他に知る者もなく
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取り敢えず、エックス達のことは何とか覚えてくれていたので交流はあまり困らなかったのは救いだった。

「行こうか、ルナ」

「?ああ、ここに俺の知り合いだった人が眠ってるのか?」

「そうだよ、挨拶していこう」

ルナを伴って研究所に入っていくアクセルの姿はルインは少し悲しそうに見遣る。

「何か寂しいけど…あれで良かったのかもね…あんな酷いことを忘れられて…」

「そうね…記憶がないことも時には救いになることもあると思うわ…」

エイリアもまた心を壊されるほどの恐怖をルナが忘れられたことに寧ろ安堵していた。

しかしルナのこととは別の心配が存在する。

「でも、アクセルが心配だわ…額のコアに何かを埋め込まれたんだもの…」

あの時、額のコアが受けた触手によりアクセルの額のコアには妙な物が埋め込まれており、何とか摘出することが出来ないのかとドクター達が苦心していたのを知っている。

アクセル本人は至って正常だが、イレギュラーの執念の攻撃程に恐ろしい物はない。

どうかアクセルに悪影響が出る前にどうにかなって欲しいところだ。

そしてやることを終えたのか、アクセルとルナは手を繋いで幸せそうに微笑みながら、寄り添うように研究所を後にして、街の中に消えていった。

2人の後ろ姿を見つめながらエックスは願う。

どうか、あの2人の未来に幸福が待っているように。

ルミネのイレギュラー化を受け、政府はコピー能力を持つ新世代型レプリロイドの初期ロットを破棄…。

コピーチップの製造を中断した。

しかし、宇宙開発の更なる隆盛から高性能な新型レプリロイド開発の要請は尽きず…。

数年後、厳重なプロテクトを施し、コピーチップの製造を再開した。

       人間とロボット。

 相容れぬ二つの生命が平和に共存する世界。

   それは私が望んでやまない理想郷だ。

       トーマス・ライト

遥か遠い過去。

時の流れは川のように絶えねど、その営みは天より他に知る者もなく。
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