第百五話 大坂からその八
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「それならな」
「では今から」
「出陣だ」
「我々もですね」
「そうする、一万の兵で興福寺を攻める」
この勢力をというのだ。
「そしてだ」
「倒しますね」
「そうして降す」
これが英雄の返事だった。
「それで終わりだ」
「興福寺の処遇は」
「興福寺の政はどうだ」
「今調べてるけどな」
耕平がすぐに答えた。
「別にな」
「悪いものではないか」
「まあ普通やな」
「普通か」
「元々奈良は豊かやしな、田畑も街もええから」
「それで苛烈な政をせずともか」
「普通に年貢とか銭とか入るさかい」
それでというのだ。
「そやからな」
「政は悪くないか」
「そこそこやで」
「いいか」
「そや、別に民を搾取してるとかな」
「そういうことはないか」
「欲はあってもや」
それでもというのだ。
「普通や、まあ坊さん達にしてはな」
「欲はあるか」
「そう見えるけれどな」
耕平が自身の下についてきた忍達を使って調べはじめた今の段階ではだ、そうだというのだ。
「酒に女もやしな」
「この世界での坊さんではどっちもいいぜよ」
当季が笑ってそのことを話した。
「だからぜよ」
「溺れん限りはやな」
「別にいいぜよ」
それならというのだ。
「わしとしてはのう」
「まあな。戒律を破ってへんとな」
「特にのう」
「ええけどな」
「まあ女色はです」
僧侶の謙二が耕平に話した。
「あまりです」
「奥さんは持ってもええけどやな」
「溺れることは」
「よくないんやな」
「お酒もです」
こちらもというのだ。
「般若湯となっていますが」
「溺れたらか」
「いけないです」
「それは戒律破りじゃな」
「修行中の身で酒池肉林の暮らしは」
この場合はこの言葉の語源となった酒池肉林がよく使われる場合の言葉だ、酒と女に溺れるという意味だ。
「こちらの世界でもです」
「あかんか」
「あってはならないことです」
僧侶にとってはというのだ。
「それは」
「やっぱりそうか」
「はい、ですが妻帯とお酒を楽しむ位はいいので」
「それでやな」
「拙僧もです」
謙二もというのだ。
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