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おぢばにおかえり
第五十一話 お餅つきその二十四

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「そんなことする人には見えないから」
「何か僕その人がわからなくなりました」
「わからなくなるまでもなくてね」
 本当に私から見ればです。
「あんないい人いないからね」
「不思議ですね」
「それはあれだね」
 ここで石本さんが言ってくれました。
「千里ちゃんと阿波野君は同じ人の違う一面を見たんだよ」
「違う一面ですか」
「そうだよ、千里ちゃんはいい一面を見てね」
 そしてというのです。
「阿波野君は悪い一面を見たんだよ」
「先輩の、ですか」
「僕はそう思ったよ。千里ちゃんはその人のいい面をずっと見てきてね」
 私の場合はそうでというのです。
「そして阿波野君は一度会っただけだよね」
「はい」
 阿波野君は石本さんにも真面目に答えました。
「そうです」
「その中で悪い一面を聞いたんだったね」
「ご本人から」
「それじゃあ本当にね」
「それぞれですか」
「別の一面を見ていたんだよ」
 こう阿波野君にも私にもお話してくれました。
「それぞれでね」
「それで、ですか」
「僕達それぞれ違う印象を受けているんですね」
「そうだと思うよ、人間は誰でも色々な顔があるからね」
 こう私達に言ってくれました。
「そのことはわかっておいてね」
「色々な顔ですか」
「そう、二人が言うその人についてもね」
「そういうことですね」
 私は石本さんのそのお言葉に考える顔になりました、そしてです。
 妹達にです、ここで言われました。
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