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ある晴れた日に
364部分:天使の様なその九
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天使の様なその九

「皆ね」
「色々かよ」
「確かにさ。ここから見ればね」
 また言う竹山だった。
「皆小さいよね」
「ああ」
「さっきから言ってる通りな」
「けれど。皆必死にやってるんだよね」
 しかし彼はこうも話すのだった。ここで。
「必死にね。生きていてやってるんだよね」
「そうなんだよな。確かにな」
「俺達だってそうだしな」
「ああ」
 今度は自分達のことについても考えていくのだった。
「あれこれって必死にやってるよな」
「皆同じってことかよ」
「そうだよ。皆それぞれ必死なんだよ」
 また話す竹山だった。
「皆ね」
「ちっぽけでも必死か」
「矛盾してるか?」
 こうも考える彼等だった。
「いや、そうでもないかな」
「だよな」
 しかしすぐにこうした考えにもなるのだった。
「遠くから見たら小さくてもな」
「俺達だって小さくて」
「それでも必死だしなあ」
「何でもな」
「そうなんだ。皆そうなんだよ」
 竹山の話はさらに哲学的になってきていた。
「頑張ってるんだよ。本当にね」
「なあ、竹山」
「御前ってな」
 三人は真面目な顔になって竹山に対して話していた。
「御前って結構考えてるんだな」
「あまりそうは見えないところあるけれどな」
「別にそんなつもりはないけれどね」
 彼自身としては別にそんなつもりはないのだった。
「ただ。思っただけだし」
「その思ってることが深いんだよ」
「そういうことなんだよ」
 だが三人はこう彼に言うのである。
「深いんだよ、それがな」
「御前の言葉ってな」
 話を出していく。そうして何時しか座ってそのうえで本格的に真面目に話をしていた。
「野本だってあんなので考えていたりするしな」
「なあ」
「女連中だってなあ」
 クラスの面々についても話すのだった。
「真面目だからな、考えてる時は」
「必死になる時はなるしな」
「そういうものか」
「その通りだよ。それじゃあさ」
「ああ」
 また竹山の話を聞くのだった。三人で彼を囲んでそのうえで、であった。
「二人もそういうふうに見ていこうよ」
「そんな話聞いたらあれだぞ」
「どうしてもな」
「そうだよ。ちょっとな」
 三人の言葉の感じがここで歯切れが今一つなものになっていた。
「優しい目になっちまうよな」
「温かいっていうかな」
「温かくていいじゃない」
 そして竹山がそれでいいというのだった。
「温かくてね。それでね」
「いいか、それで」
「あれこれ見なくても」
「そう。僕はああしたことは経験ないけれど」
 少し苦笑いと寂しいものが混ざった笑みになっていた。そうしてそのうえで話すのだった。この辺りに彼のもてないところが出てはいたがそれでもだった。
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