暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
黒星団-ブラックスターズ-part2/シエスタの隠し事、テファの悩み事
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彼は椅子に座ると、骸骨の口を開けてその中に手を突っ込んだ。テファは思わずひう、と悲鳴を漏らした。さっきまで浮いていたこの呪いの骸骨を全く恐れもせずに、口に手を入れるなんて罰当たりとしか思えない。でもすぐに、シュウが骸骨に手を入れた理由を知った。
骸骨の口から、彼は小さなファンの着いた機械を取り出していた。
「あの、それって?」
「あぁ、尾白のクラスの連中が今度の学園祭で幽霊屋敷を作るってことになったそうでな、俺に小道具の制作を頼んできたんだ。中に小型のドローンを仕込んで見たが、うまくいってよかったよ」
つまりその骸骨は、彼がそのために用意した仕掛けの一つなのだ。カーテンを締め切ってるのも、雰囲気作りのためらしい。
「お、脅かさないでくださいよぉ…本物だと思ったじゃないですか…」
若干情けない声でテファは抗議した。空飛ぶ骸骨なんて、妙に手が込んでる上に心臓に悪すぎる。特に女の子らしくホラー系に耐性が無いテファに、今の骸骨の仕掛けは本物と錯覚させられる。
「試運転でそこまで怖がってくれてたなら作り甲斐があるな、っくく…」
(先輩、意地悪…)
詫びれなくそう言ったシュウに、テファは少し剥れた。私は実験台なのか。そう思うと不満が募ってくる。人が先日の戦いのこともあって心配していたと言うのに。怯えていた自分を見て面白おかしそうに笑っている彼が、ちょっぴり憎らしくなる。シュウを見かけたら、体調は悪くないかとか、先日の戦いの後のことを尋ねて見ようかと思っていたが、こんな意地悪を受けてはその気も失せる。
(…え…先輩が、

笑ってる…!?)

ふと、テファはシュウの口角を上げた笑みを見て、面食らったように驚いた。

シュウが、笑っている。たったそれだけのことなのに、それが何にも勝りそうなくらいの衝撃となった。

「ところで何か俺に用か?」
「…いえ、なんでもありません」
そのシュウの一言を受けて我に返ったテファがそっぽを向くと、ちょうど同じタイミングで二人のいる教室の扉が開いた。
「ようシュウ!うちのクラスで使う仕掛けの調子は、ど、う…」
現れたのは尾白と憐だった。しかし尾白はシュウとテファの二人を見て驚いて固まると、すぐさま廊下側を向いてわめきだした。
「愛梨さんこっちです!こっちであなたの旦那が不倫してますよぼぐひぁ!」
「ふ、不倫!?」
「人聞きの悪いことを言うんじゃない!それに誰が旦那だ」
自分が二股をかけてるような言い方をされ、テファは目を白黒させ、シュウは尾白に向けて怒鳴る。ギーシュならやらかすだろうが、自分は複数の女を侍らせる気はない。適当に尾白の頭を殴り付け、彼は憐に空飛ぶ骸骨を渡した。
「あーあ、また尾白が変なこというから」
「うぐ…いや、だってよぉ、愛梨ちゃんが毎日すげぇアプローチかましてっから…」
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