黒星団-ブラックスターズ-part2/シエスタの隠し事、テファの悩み事
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いた。
(お金のためとはいえ…大丈夫かな…まさか、あんな風なお仕事するなんて思いもしなかったし…)
どうやら今の彼女は、新たに金銭面での悩みを抱えているようだ。孤児院暮らしである以上、自分の家でもあるあの施設の経営は気に止めなければならない。財布をしまい、そのまま校舎外へ出ようとする。
「…あら?」
廊下を歩いていると、ある教室が目に入った。カーテンで廊下側の窓が覆われ、外からの様子が全く見れない状態になっている。確かあそこは、誰も使われていない空き部屋のような状態で、中は余った机が並べられている状態のはずだ。この学校では、空いている教室はいつでも多目的で利用できるようにと鍵も開けられており、カーテンで覆ったりはしないはずだ。
気になってその教室の前に来てみる。控えめなイメージこそあるが、彼女は好奇心も強い方だった。近づいて窓の中を覗き見るが、やはり中はカーテンで覆われて見えない。隙間さえもなく締め切っていた。…と思ったらかすかに、わずか3センチほど窓が開いていた。小さくカサカサ、と音も聞こえる。誰かが使っているのだろうか。
覗いてはいけないものだとテファは思うが、怖いもの見たさの感情が芽生えたのか、窓の隙間をそっと覗き込んだ。その瞬間、突然彼女の覗き見ていた窓の隙間から白く大きなものが下りてきた。
「きゃあああ!?」
それを見たテファは思わず悲鳴を上げた。降りてきたその白い物体は、
骸骨の頭だった。
突然の怪奇的飛行物体を目にしたことで彼女は驚きのあまり腰を抜かしている。それも骸骨は糸で吊り下げられているわけではなく、一人でに浮いて宙を漂っていたのである。しかもどういうことか、こちらを追尾してきている。ホラーものに耐性がないらしいテファは怯え、向かってくる骸骨とは真反対へ逃げ出す。
「だ、だだだ…誰か!」
仕掛けも見受けられないのに浮遊し続ける骸骨なんて、もはやそうとしか思えない。この骸骨は…本物のお化けだ!歯をカチカチ鳴らしながら迫る骸骨に、テファは助けを求めるも、気が付けば
骸骨が眼前に迫ってきたとき、覚悟を決めて目を閉じた…が、骸骨はテファに届く前に、糸が切れた人形のように床に落ちた。
「え?」
何が起こったのかわからず、テファが目をぱちぱちさせて困惑していると、カーテンで覆われた教室の扉が開かれた。
「なんだ、悲鳴が聞こえたと思ったら君だったのか」
現れたのは、シュウだった。何をしているんだと言わんばかりにテファを見下ろしていた。
「せ、先輩…?」
シュウは骸骨を何の抵抗もなく拾い上げ、教室の中へ戻る。テファは気になって彼の後を追って教室に入る。
木の板、銅線、布原、ランプ、絵の具、工具…とにかくいろんな道具や素材が、会議室の机のような形で並べられた机の上に散らばっている。
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