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イヌイットの宝
第二章

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 その依頼を見てだ、恵梨香はエミリーに言った。
「この依頼がな」
「神託っぽいんやな」
「どうもな、そやからな」
「この依頼受けるか」
「そうしよな、ほなギルドの事務所に受けるって言って」 
 そしてというのだ。
「市役所に行って」
「依頼を受けるか」
「そうしよな」
 こう言ってだった、エリカはエミリーと共にギルドの事務所に素性を隠し旅の冒険者ということにして依頼を受けると答えた、だが市役所では市長に身分を明かしたうえで依頼の話を聞いた。すると毛人の市長ロミオ=マリネッティは二人に困った顔で話した。
「それが私達もです」
「神託の具体的なことはかいな」
「どうにも」
 困った顔でだ、市長はエリカに答えた。三人は暖房がかなり効いている市長室の中で話をしている。出されたコーヒーも熱い位だ。
「わかっていません、この辺りのイヌイットの伝承にあって」
「その伝承の詳しい中身はかいな」
「イヌイットの人達にも」 
 肝心の彼等にもというのだ。
「わからないという」
「困った事態なんやな」
「左様です」
 こうエリカに答えた。
「ですが海にあるというのは」
「間違いないんやな」
「どうやら。ですからお二人には」
 仕事の依頼を受けたからだというのだ。
「これから」
「冒険者としてな」
「宜しくお願いします」
「ほなな」 
 エリカは市長に確かな声で答えた、そしてだった。
 市長室を後にするとすぐにだった、エリカはエミーを連れてノームから海に渡ろうかと思ったのだが。
 海は凍っていた、それでエリカは凍っていて船なぞ出せる筈がない海を見つつエミリーにこう話した。
「歩いていこうか」
「海の上をあな」
「凍ってるさかいな」
 それ故にというのだ。
「もうここはや」
「氷の上を歩いて」
「そしてな」
「お宝探しやな」
「そうしよな。しかしイヌイットの宝かいな」
 エリカは首を傾げさせて言った。
「正直な」
「自分も思い当たるもんないか」
「ちょっとな」
 どうにもという返事だった。
「うちにも」
「そやねんな」
「ほんま何や」
 こうも言うのだった。
「そうなってるわ」
「それで探すか」
「一切手掛かりなしや」
「街の人に聞いてもな」
 実は二人は今自分達がいる港に来るまでに街の図書館で調べたり人に聞いたりしてイヌイットの宝は何かを調べた。だがだったのだ。
 一切何もわからなかった、エミリーも言うのだ。
「わからんかったし」
「一切わからんままな」
「探しに行くしかないわ」
「ほんまにな」
 二人で話してだ、そしてだった。
 エリカはエミリーと共に港を出た、船ではなく海を凍らせている氷の上を歩いていってだ。すると途中氷の上にだった。
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