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駄目親父としっかり娘の珍道中
第88話 見合い写真ってのは大体宛にならない
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ってなさいよあんたたちはぁ!)

 等と、内心パニックに陥っていた。

 滝のように流れ落ちる冷や汗。がくがくと振動パック宜しく震えだす彼女の体。

「どうした? もうすぐ来る相手を前にして緊張しているのか? お前にとっても初めての見合いだからなぁ。私も年甲斐にもなく緊張してしまっているよ」

(あんたは何に緊張しているんだぁ! 愛娘をゴリラの玩具にする緊張でもしてんのかぁこの白髭ぇぇ! その白髭真っ黒に塗り潰して樽に押し込んでリアル黒〇げ危機一髪やらせたろうかぁ!!)

 最早正常な判断を彼女に求めるのは酷だと言えた。
 それほどまでに彼女はパニック状態にあったのだ。

【警察庁長官 松平片栗粉。並びに真選組局長 近藤勲。只今参上仕り候!】

 そんな時、障子の向こうから野太い男の声が響いた。そして、開かれる障子。

 開始一番に現れたのは白髪で咥えたばこにどっかの危ない人とかが掛けてそうなグラサンを掛けた危なそうな雰囲気をもったおっさんだった。

 え? まさかこのおっさんが見合い相手とか?

 等と、緊張した面持ちで見ていると、その後にやってきたのは先のおっさんほどではないがおっさんに片足突っ込んだ位の男性が入って来た。

 髪のセッティングなど碌にしていないと言わんばかりに無造作に切り揃えられた髪に顎髭を蓄えた何処か間の抜けた顔をした男だった。

 そんな男と自分の視線が交差する。

 すると、互いに時が止まった感覚を覚える。が、別に一目惚れとかそんなんじゃない。

((しゃ、写真と全然違うじゃねぇかぁぁぁーーーー!!!))

 と、見事に二人の心の声はシンクロしていたのであったそうな。
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