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駄目親父としっかり娘の珍道中
第88話 見合い写真ってのは大体宛にならない
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けですっげぇ卑猥な言葉に聞こえてきそうだから!」

「まとにかくだ。くれぐれも粗相のねぇようにな。上手く立ち回って娘さんに気に入って貰えてガキでも拵えりゃこっちのもんよ。全てはお前の〇〇玉に掛ってんだからしっかりしとけよ」

 危ない話も織り交ぜつつ、二人は見合い相手の待つ部屋の入口までたどり着いた。
 
 緊張の余り近藤の首筋に冷や汗が溜まりだして紋付に染み出して不快な気持ち悪さに繋がっていくが、今はそんな事気にしていられる状況ではない。

「警察庁長官 松平片栗粉。並びに真選組局長 近藤勲。只今参上仕り候!」

 松平がこれまたドスの利いた声で名乗り、ゆっくりと障子を開く。

 中に入っていく松平に続いて近藤も部屋に入り、其処で改めて見合い相手を目の当たりにした。

 青い瞳に薄茶色のロングな髪を着物に掛らないように束ねているが、何よりも目が行ったのは両の耳だった。

 何処となく猫を思わせる耳をしている。

 まぁ、そんな耳など天人でごったがいしている江戸でなら然程珍しくもないのだが、それが向こうの世界の住人となれば話は別になってくる。

 普段着物など着ない筈なのに見事に着こなし、更に佇まいからも彼女の上品さが伺えて来た。

 そんな彼女もまた部屋へと入って来た近藤を見て思わず驚愕の顔をしている。

 無理もないだろう。何しろ見合い相手が三十路前のおっさんなのだから。

 だが、彼女の驚いた理由は別にあった。



 近藤がやってくる数刻前の事ーーー



「はぁ・・・」

 新八、近藤に続き、彼女もまた盛大な溜息を吐いていた。

「どうしたんだ、アリア。折角の晴れ舞台なのに溜息なんか出して」

「う、うん・・・まぁ、晴れ舞台なのは晴れ舞台だから嬉しいと言えば・・・嬉しいんだよね、うん」

 アリアと呼ばれた女性は隣に座る白髪の老人に言われ、何処かぎこちない返事を返していた。

「しかし良かったな。お前もうすぐ年齢ギリギリとか言ってたじゃないか。良い所にお前好みの男性が居たじゃないか」

「私好み・・・の・・・ねぇ・・・」

 父と思わしき男性にそう言われて、アリアは渡された見合い写真を今一度見た。

 其処に移っていたのは全身毛深いまるでゴリラみたいな男性が映っていた。

 ・・・って言うか、ゴリラそのものだった。

(お父さん、これ何かの嫌がらせなのぉ! 私の好みがゴリラってないから! 絶対ありえないから! まず種族的に有り得ないから! 確かに同じ哺乳類かも知れないけど私元は猫だよ! 猫を媒体としているんだよ! 其処は普通雄猫とかを呼ぶんじゃないの!? 何でゴリラ? しかも何でゴリラが流暢にスーツなんて着こなしてるのぉ? 動物園でウホウホ言
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