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ある晴れた日に
358部分:天使の様なその三
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天使の様なその三

「けれど感じることはね」
「それは違うのか」
「何となくだけれどそう思うわ」
 これが未晴が感じたことだった。
「私はね。そう思うけれど」
「見えるものの大きさは変わっても感じるものについては違うか」
「ほら。あのお化け屋敷」
 未晴はまたお化け屋敷を指差した。観覧車はより上にあがっていてお化け屋敷は余計に小さく見える。それを見ながら話すのだった。
「お化け屋敷だけれど凄い迫力だったわよね」
「迫力どころじゃなかったな」
 実は内心怖いものを感じていた正道だった。男である彼が見ても怖いものであるからあのお化け屋敷の怖さは本物であった。
「あれはな」
「怖いだけじゃなくて」
 未晴の言葉は続く。
「もう忘れられない位じゃない、あれって」
「感じ取ったものはか」
「ええ。その大きさは変わらないから」
 だからだというのである。
「凄かったわよね。あれはね」
「あの怖さは尋常じゃなかった」
 正道もまた述べた。
「あれはな」
「ええ。それは変わらないから」
 だからだというのだ。
「感じ取ったものはね」
「それはか。見たものは変わっても」
 正道もここで未晴の言葉が完全にわかったのだった。頭の中に入れるとそれがさらに反芻され心の中にまで入っていくのだった。
「そういうことだな」
「ええ。楽しかったわよね」
 未晴はその感じ取ったことをまた話した。
「今日は。とても」
「ああ、楽しかったな」
 そして正道は彼女の言葉にまた頷いた。
「とてもな」
「けれどこうして本当に二人きりになれる時間は少なかったわよね」
「あいつ等がいたからな」
 言いながらここでちらりと下を見た正道だった。
「あいつ等がな」
「今皆どうしてるかしら」
「また下であれこれと騒いでいるんだろうな」
 正道はこう予想を立てた。二人で向かい合って座りながらそうして話をしているが二人の話は静かにだが確実に弾んでいるものだった。
「またな」
「声は聞こえないけれどね」
「ああ、絶対に騒いでいるな」
 もうそれはわかっていることなのだった。
「また色々とな」
「皆何かあるとすぐに騒ぐから」
 未晴もそのことを考えてまたしても困ったような笑顔になった。
「騒ぐの好きなのよね。皆」
「好きなんてものじゃないな、あれは」
 正道はまた彼等について言った。
「騒がないと生きていけないのかも知れないな」
「私達もだしね。それって」
「最初は馴染まないかも知れないって考えた」
 クラスにである。その一年G組にだ。
「最初はな」
「私は別に」
「おたくはやっぱりあれか」
「ええ。咲達がいてくれたから」
 あの幼稚園からの親友達がということだった。
「だから。それは別にね」

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