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人徳?いいえモフ徳です。
四十八匹目
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紙袋越しに聞こえる足音や会話から、シラヌイは犯人に目星をつけた。

(幼い声、狭い歩幅……ストリートチルドレンか。
目的はたぶん身代金なんだろうけど……)

数分ほどすると、シラヌイは中途半端な柔らかさの何かの上に置かれた。

(藁に布を被せてるのかな…?)

そこでバッと紙袋が取られた。

「よう。貴族様」

シラヌイの目の前には、そう年の変わらないであろう少女がいた。

ボサボサの髪に痩せこけた体。

ピンとたった猫耳に鋭い牙。

その少女の後ろに、彼女よりやや小さい子供達が十数名。

全員が猫耳だ。

(野良猫の群かな…? それにしては男が居ないような…?)

「やぁお嬢さん。一応義務的に言っとくよ『こんなことしたら僕の家がだまってないぞ』ってね」

「さぁどうだろうな? 誘拐されたなんざ貴族の恥。大人しく身代金を払うんじゃないか?」

「はっはっはっはっは! そんなのお婆様が気にする物か。
お婆様なら僕が拐われた事すら気にしないさ」

「ほう? お前さん、貴族の三男辺りか?」

「おいおい僕の事も知らずに拐ったのかい?
命知らずにも程があると思ったが、それなら仕方ないかな」

「あ?」

シラヌイが有らん限り偉そうに言った。

「今すぐ僕を解放しろ。そうすれば、僕は何も見なかった事にしよう」

「立場がわかってねぇようだな、貴族様よ」

シラヌイの手足は縛られ、数的不利は一目瞭然。

「ちょっと痛い目見た方がいいんじゃぁねぇのか!」

少女の足がシラヌイの腹を蹴ろうとした寸前。

「ゲート・オープン」

シラヌイがボソリと呟いた瞬間。

シラヌイの姿が消えた。

少女の足が空を切る。

「なっ!? 消えた!? 幻影か!?」

子供達が辺りを見渡す。

数秒の後、彼らの中心にシラヌイが現れた。

「やー、アイテムボックスの中に自分を入れるなんて事考えるのは僕だけだろうね」

子供達がシラヌイに殴りかかる。

が、しかし。

「パラライズ」

バチィ! と閃光がはぜた。

瞬間、子供達が倒れる。

「なぁ、お前達。ローリスク・ローリターンだがローリスク・ハイリターンに化けるかも知れない仕事があるんだが、一口乗らないか?
なに、安心しろ。お前達が生きるのに必要な金くらい、直ぐに集まる」

子供達は答えない、答えられない。

「ああ、断ってくれても構わないが、その場合君達は死刑だ。
さぁ、どうするかね?」

勝負は、決した。

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