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ある晴れた日に
35部分:噂はそよ風の様にその十二
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噂はそよ風の様にその十二

「そんなのだったら大物にならねえぜ。いいじゃねえか、人生を勉強してるんだからよ」
「あんた本当に馬鹿だね」
 恵美の声は呆れ果てたといった感じだった。
「音橋の方がまだ賢いよ」
「ちぇっ、そんなに馬鹿だっていうのかよ、俺が」
「ええ、そうよ」
 その呆れ果てた声で告げる恵美であった。
「始末に終えないね、全く」
「まあお利口になろうなんて思っちゃいねえよ」
「その潔さはいいけれどね」
「馬鹿なら馬鹿でいいさ」
 確かに居直りの言葉だがそこには確かに潔さが見られる。
「少なくとも人を騙したり人道に逸れるようはしないさ」
「これは保障できるよ」
 竹山が横から言ってきた。
「少なくともね」
「つまり筋が通っているってわけだよな」
 春華は彼の話を聞いてこう表現した。
「まあそれだったらいいけれどな」
「どうせ俺は馬鹿だよ」
 いい加減居直りも板についてきた。
「それならそれでいいじゃねえかよ」
「薬なんてないしね、馬鹿には」
 咲もそれはそれで言う。
「治らないなら治ること治していけばいいし」
「性格は治るの?」
「治るわよ、それはね」
 こう明日夢にも答える。
「少なくともね」
「それでよ、三下」
 春華は暫くぶりに野本をこの仇名で呼んだ。
「だからその名で言うなつってんだろ」
「御前せめて授業中は漫画読むなよ」
「ああ、じゃあそうするさ」
「しかし。何かよ、このクラス」
 春華はここで話を変えてきた。
「纏まりねえよな」
「こうして皆話してるのに?」
 明日夢はそこに突っ込みを入れる。
「それでもなの」
「っていうか幾つかのグループの寄り合い所帯じゃねえか」
「そういえばそうだね」
 桐生は春華のその言葉に頷いた。
「うちのクラスって。小さいグループで集まって」
「その中で一番大きいのが私達?」
 奈々瀬は首を少し傾げさせて言った。
「結局のところ」
「六人でなの?」
「それって少なくない?」
 静華と凛が奈々瀬のその言葉に突っ込みを入れる。
「たった六人で一番多いって」
「まあグループとしては多いかも知れないけれどね」
「大所帯でも小所帯でもそれはいいのよ」
 恵美はそれには構わないと断言した。
「そこにちゃんとしたのがあればね」
「御前そういうところしっかりとしてるよな」
 佐々がその恵美に突っ込みを入れる。
「クールだしな」
「そうかしら」
「それによ」
 今度は茜が横から突っ込みを入れる。
「成績だっていいしね。中学からずっとクラスで一番だったし」
「むっ、未晴のライバル登場ね」
 咲はここで少し警戒する顔を作ってみせた。
「未晴、気をつけなさいよ」
「私はそんな」
 咲の意地悪そうに
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